約 1,237,016 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3510.html
*fuku5204の表示を調整したものです。* *虐待少な目です* *とても良い目に合うゆっくりがいます* *とても良い目に合うお兄さんがいます* 踏まれてゆっくり とてもゆっくりできる場所で、今までに誰も見たことのないゆっくりが居る。 目撃されたと噂されている、その時点で語るに落ちてはいるのだが、つまりは 新種のゆっくりだろう。 ゆっくりづての話ではあるが、暇だった私はここを訪れたのだ。 人の立ち寄らぬ山奥。ゆっくりがゆっくり出来る、ここ一帯の中でも最高のゆ っくりプレイスがあると、ゆっくり達は言っていた。そうは聞いていたが、まさ かこれほどまでにゆっくりしているとは思いもよらなかった。 最も近隣の村から数えて、約1万5千ユクリード(1ユクリードは標準的なゆ っくりが一跳ねする程度の距離)程はあるのだろう。人も踏み込まぬ聖域と化し たこの場所は、谷と急斜面が入り組んでいることもあり、獣も少ないのだろう。 華咲き乱れ実りは熟し、穏陽差し込み抜ける風蒼し。豊穣の女神が2ダースくら い乱舞しているのかと思わせるような、ゆっくりの楽園であった。 世話をしているゆっくりを共に連れてきたのだが、かつて見せたこともないほ どゆっくりした表情を浮かべている。 「わかるよー」 しきりに頷いているのが、なんかずるい。 その「誰も見たことのない新種のゆっくり」は、ひっそりと木陰で涼んでいた。 「ゆっくりしていってね」、と挨拶する。『ゆっくりしていってね!』、そう返 事が来るものとしか思っていなかった私は、衝撃を受けた。 「ああ、是非ゆっくりして行ってください」 礼儀正しい!? 「わかるよー、ゆっくりしていくよー!」 それに比べてうちの子は。しかし、妙に嬉しそうだな。「らんしゃまを探す」 「見たことの無いゆっくりと友達になる」。目的の半分を消化したのであるから、 わからないでもないが。実を言うと、ただ山を歩き回るだけでなく、こいつのお 婿さんを探してたのである。新種が見つからなかった場合の、精神的口実に備え て。両方やらなければならないというのが、ゆっくり飼い主としては辛いところだ。 「よろしくね、ちぇん。それと、おね……にいさん?」 「おねえさんだ馬鹿者」 近寄って軽く踏みつける。 短めの髪に活動的な雰囲気を身にまとった私は、まあ男性に見られることも少 なくないのだが、とはいえ乙女の純情を踏みにじった対価は、自分が踏みにじら れることで支払わせるしかないだろう。 ちなみに山林を踏破するためにくるぶしまで隠れる丈夫なズボンを履いて来た ため、躊躇はない。 小娘が好んで着るようなひらひらとしたスカートであっても、躊躇はなかった だろうが。 まあそんな服飾は私には似合わないんだよなと――背中に忍び寄りつつある嫌 な予感から逃避するかのように、足の下に居るゆっくりとやらをやさぐれた心の 傷だけぐりぐりと踏みにじる。耳に良い影響を与えないような音響は、脳の片隅 で遮断しているので、例えばゆっくりみたいな変な物体の泣き叫ぶ声とかそんな 音があったとしても、何も聞こえない。あーあー、きこえなーい――考えつつ、 多分20分くらい続けて、諦めた。 「で、ちぇん。これ何ゆっくりだ?」 「ゆっくりはゆっくりだよ? わかるよー?」 小首をかしげる猫又なゆっくり。ううむ、かわゆい。近くの木に寄りかかり、 頬をつい、となぜてやる。 「たとえばお前はちぇんだな。向こうではしゃいでいるのは、まりさやれいむだ。 さてこいつは何ぞや?」 「むむっ! うーと、まりさ……いやぱちゅりー……? わ、わからないよっ!?」 だろうなあ。視線をさまよわせて悩み込んだちぇんを尻目に、観察してみる。 まず目につくのは飾りの多さだ。まりさの帽子やれいむのリボンなど、ゆっく りの飾りの切れ端を、ドスまりさもかくやと言う程に髪に飾りつけている。黒髪 は5分で刈り上げ、黒目をまとうまつ毛の切れは、なかなかに鋭いものを思わせ る。ゆっくり特有の下ぶくれはなく、全体的に精悍な顔つきだ。 こんなところより公園のベンチでツナギを着たまま座っているのがお似合いな 印象を受ける。あくまで印象だけだが。赤く染まった目元に残る涙の後が、過去 にあったであろう悲惨な不幸を思わせる。きっとたぶん明かに確定的に、今日以 前の過去にひどい仕打ちに遭遇した、その名残なのであろうな。 つーかもしかしなくても、こいつってさ。 「はい、自分は『ゆっくりおにいさん』です。ゆっくりしていってね。もう痛い ことはゆっくりやめてね!」 誰何の疑念が声に出ていたらしく、そいつは礼儀正しく自己紹介した。 「ていうかお前ゆっくりじゃないだろ。地面に埋まって、首を出しているだけだろ!!?」 「はっは、ばれましたか。自分はこうやってゆっくりとしむぎゅ」 勢いをつけて顔の中心を踏み抜く。 バカバカしいぞ本当。乙女がこのためだけに、一体何日の野宿を重ねたと言う のか。その柔肌を幾度の雨露に曝してきたと言うのか。 「い、痛いですっ!?」 「黙れ馬鹿」 自分がおろかであることを否定するかのごとく、目の前の「ゆっくり」を踏みに じり続ける。 「あ、あまり上品だとは言えませんよっ!?」 「もし自分の精神安定のためだけに他人を攻撃するとしたら、その人格は社会から 否定されることだろう。それほどまでに忌むべき行為であろうな。が、このまれに 見るゆっくりプレイスにいるのは、どうやら私と、とてもゆっくりしているゆっく りだけのようだ」 「いや自分は」 「そして人里では野良ゆっくりを攻撃することは村全体への間接的奉仕となるため、 この行為はもうまったくの慈善活動だ。やれやれ、自己を省みない奉仕の心が、ど うやらここでも遺憾なく発揮されてしまったようだな。本来ならば何らかの対価を 以て充当すべき行為ではあるが、その支払いに応じてくれるような存在は、山二つ を超えてなお存在しないのであろうな。我が事ながら頭が下がってしまって、もう 諦めて力任せに足を踏みにじるくらいしかやることがない」 「その足の下には哀れなおにいさんが居るんですけどねっ!?」 「もしお前が『おにいさん』とか言う、人間に準じる程度の小汚い種族であるならば、 何かそれを証明出来るよなあ。具体的にはこの行為への対価だが。いやいや何とは言 わないが、まあ亜人間種であることを証明することの出来る程度には価値のある、社 会経済を発展させる上で極めて重要な位置づけを占める物とか」 「お、お金なんて持ってませんんんんんっ」 例え身につけていたとしても、私には掘り起こせないのだろうが。 「おやおや、声はすれども人の姿は見えず。果てさて、面妖なことじゃなー。ちなみ に棒読みだ。あまりにも感情が入りすぎて棒読みに聞こえないかもしれないが、それ は内面からにじみ出る憤怒によるものであるが、私はちゃんと棒読みを心がけている のだぞ。ぐりぐり」 「やべでえええええ」 空が青いなあ。帰るの面倒だなあ。どうやって帰ろうかなあ。らんしゃま見つかる かなあ。見つかるといいなあ。 「自分は、自分は、……虐待お兄さんなんですぶううううう」 ふと、ちぇんを見やる。どうやら馴れないことを考えていたからであろうか、寝て しまったらしい。ゆっくりとしている夢でも見ているのだろう、ぴくぴくと反応する しっぽがほほえましくて、ついつい足にも力が入るというものであった。 「わかるよー! ……わかー?」 先ほどのゆっくりプレイスから、斜面を少しばかり上った所。 土中に埋まっていた、自称ゆっくりおにいさんこと元虐待お兄さんから、労働及び 赤く汚れた靴の対価として借り受けた――巻き上げたわけではない。あくまで有利な 状況で結んだ賃貸契約に過ぎない――、小さめの屋敷とでも言えるくらいに頑丈で広 い作りとなっている山小屋で人心地ついていると、目覚めたちぇんが不思議そうに見 回していた。 「さっきのゆっくりはね、ゆっくり出来ないゆっくりだったんだ」 「わ? わからないよー?」 眉を寄せるちぇんに――ついでにしっぽもくるりと丸まっている――、ゆっくりと 説明をする。 土中に埋まっていた変人は、つまるところ虐待に飽きた元虐待お兄さんであった。 人との交流を避け、来る日も来る日もゆっくりを虐待していたため、一切の新鮮味が 無くなってしまったのだという。生きる糧を失った彼は、ゆっくりとして生きること で逆にかつて持っていたゆ虐の精神を取り戻そうと考えたそうだ。ところが何の因果 か、彼にはゆっくりをゆっくりさせることの出来る才能があったらしい。自ら土に埋 まりながらも、ゆっくりに排斥されることなく、珍しいゆっくりとして認識され、慕 われたのだと言う。各種の飾りはその慕情の証であったのだろう。とは言え食事や生 活など何らの考えなく埋まった彼にとって、ゆっくり達からの援助無くして生きるこ とは不可避であっただろうことも、想像に難くない。 ゆっくりとの共生のために、彼女らに知恵と知識を与えるしかなかった彼の心境は、 いかなるものだったのだろうか。もはやゆ虐の民としての誇りは失われたのであろうか。 ここで私が出来ることは、ただ一つ。彼の遺志を継ぎ、ゆっくりを虐待することで しかない。私は特にゆっくりの虐待が好きなわけではない。だが彼が失った誇りと魂 を昇華させるために、あえて。そう、あえて、なのだ。……「まあどうでもいいか」 と思えることをせねばならないんすよ。主にらんしゃまが見つかるまでの暇つぶしく らいの感覚で? まあ、暇だし? ぶつぶつ。 「わかるよー! らんしゃまを探すんだね! 早く行こうよー!」 話聞いてないよな、こいつ。 「うん、今日は疲れたし、軽く近くを見て回ろうか。ご飯集めなきゃね」 「わかるよー」 ちぇんは、ぴょいんと私の肩に飛び乗ろうとして、目測を誤りずり落ちた。 「やっぱゆっくりって可愛いなあ。虐待するの面倒なんだよなあ。台詞考えたり、濁点 付けたりするのが特に」 「ゆ? おねえさん何か言った?」 「いやいや、ただ誰か本当に状況と種族ごとに分類した台詞データベース構築して関連 用語抜き出せると楽でいいんだよなあとか、突然閃いただけだよ」 どういう意味なのかは自分でもわかんない。わからないよー。 「やあおねえさん。おや、着替えたんですか? スカート姿も似合いますね。ゆっくり していってね!」 「「「ゆっくりしていってね!」」」 元虐待お兄さんと、その周りで一緒になってゆっくりな歌を歌っていた大小様々なゆ っくり達が、私たちを歓迎した。遅めの昼食を終えた私達は、再度このゆっくりプレイ スへと赴いたのであった。小屋を借りた手前もあるし、作りすぎた昼食の差し入れに来 たのだ。普段ろくな物食べてないだろうしね。べ、べつに、あまりにもみすぼらしいと か、哀れすぎるとか、変なにおいが気持ち悪いとか言う理由じゃないんだからねっ!? ……言い訳完了。これで誰も、こいつがみすぼらしいとか哀れだとか変なにおいがす るだなんて、ひとかけらも思わないだろう。 ちなみにスカートに履き替えたのは、さっき男と間違えられたことが悔しいからなど では決してなく、小屋周辺に限ればとても穏やかな地形で、過ごしやすいことが判明し たからで、決してさっき男と間違えられたことが悔しいからではないのだ。大切なこと なので二回言った。ふう、言い訳完了。 ……なんだか言い訳してばっかりだ。 「細くて白い足がとても綺麗ですね! こうしてみるとまるで女の子のように見えぶぎゃっ」 「黙れ馬鹿。ぐりぐり」 「やべてー! ていうか、見えちゃいますよ!?」 「ん? 何が?」 「え、気づいてない? まじで? 気づいてないなら見ちゃいまぎゃあああああ」 目を開けた瞬間を狙い、かかとで踏み抜いた。まあこれくらいにしといてやろう。 「お、おねーさんゆっくりしていってね!?」 「ゆっぐりでぎないよおおお!」 周りからゆっくり達の悲痛な声が聞こえてくる。そういえばゆっくりがいることを、 しゃっきりぽんと忘れていた。 「ああ、大丈夫だよ。こう見えても私はね、このお兄さんとは仲がいいんだ、ほらこう してご飯を持ってくるくらいに」 差し入れを見せて、敵意がないことを示すと、途端にゆっくり達は周りに集まって来 た。ていうか地面に置いた土産に群がってやがる。 「ぐううう、めがあああ、ぐ、ぐぎぃ、くろ……え、ご飯くれるの? 俺に? まじで?」 「まあな。家くれたし。あ、ゆっくりいくつか貰ってくから」 「うん、わか……今なんて?」 「おーいおまえら、それはこいつのご飯だぞ、我慢しとけ。代わりに、そうだな、家に 連れて行ってやろう」 「「ほんと!? ゆっくりできる!?」」 「え、なんて言ったの? ねえ何か変な事言わなかった? ねえねえ!?」 その場に居たゆっくりは、れいむ、まりさが1匹づつ、赤れいむ、赤まりさが3匹づつ。 多分ではあるが家族なのだろう。 「わかるよー、ちぇんと一緒にゆっくりするんだねー」 肩から飛び降りたちぇんが、早くもゆっくり達と追いかけっこをして遊び始める。 その間に私は元虐待お兄さんから小屋の作りや道具についてレクチャーを受ける。 「えーと、何かするんですか? 黒ですか? そのゆっくり達を”可愛がる”んですか? ひょっとして黒ですか? ところでそのスカートの下に身につけていらっしゃるであ ろう衣服の色彩を一言で言い表したとしたならば、万人が万人諸手をあげて『黒』と答 えるであろう色で間違いはないですよね!?」 会話の間に執拗なまでに挟まれる漆黒なる台詞を流しながら、ようようにして聞くべ きことのあらかたを聞き終えた私は、何かを期待する変態の眼差しに、残念な事実を告 げてやる。 「ジャージ」 「うがああああああああああああああああああああああああああああああああ」 おお、物の見事に失望してやがる。あわれあわれ。 土産は簡単な野草サラダだ。地面に置いた皿に軽く盛っておいた。こうしておけば、 お腹が空いたときにでも食べられるだろう。 「さ。みんな帰るよ」 「わかるよー!」 「まっちぇにぇ! ゆっきゅりかえりょうね!」 「ゆゆっ、待つんだぜみんな、ここにゆっくり出来るごはんが落ちているぜ!」 「「「ゆっきゅりー! むーちゃ、むーちゃ、しあわしぇー!」」」 「ってそれ俺のおおお! 半年ぶりの、まともな飯がああああ!」 「おにいさん、ここはれいむ達のゆっくりプレイスだよ! ゆっくり出来ないなら出て 行ってね!」 ですよねー。 まあどうせ、こいつは動けないし、どうあがいても食えなかったのだろうけど。話に 聞いたほど慕われてはいないみたいだし。むしろおもちゃの扱いを受けているんじゃな いか? 飾りも、親愛の証などではなくて、所有権の主張だったりして。 「もう行くよー」 「「まって、まってにぇ!」」 陽の傾いた森の中、ゆっくりの速度に併せて家路に付くのもオツな物かもしれない。 後ろから、明日は何も履かないで来てねぇぇと言う誰かの魂の叫びが聞こえた気がす るが、多分気のせいだろう。あいつの名前は今から”変態”に決まったことは、だから ただの偶然だ。変態なんだからそんな不条理も許されるのだ。がんばれよ、変態。 小屋の改装――といっても大してすることもなく、動きにくくなっていた装置に油を 差したり、簡単な掃除をした程度だ――を終えた頃だろうか、遊びつかれて寝ていたゆ っくりの家族が起きだした。 気配はすれども、ゆっくり独特の発声が聞こえてこない。声の出ないよう、彼女達が 寝ている間に、口に布を詰め込み、塞いでおいたからだ。 ちぇんは別室で寝かしつけているので、防音に優れたこの小屋の中では、大声を出し たところで気付きはしまい。これは、虐待に馴れていない私が、不愉快にならないため の処置だ。 「まあわざわざ虐待する必要なんてないけど、ものは試しってやつで」 誰に言い訳するでもなく、とは言え私を第三者の視点で見ている者などは存在し得な いのだから、自分に対して言い訳をしているのは確定的に明らかなのだが、それはさておき。 異変に気付き恐慌に陥るゆっくり達に向かって、私は説明を始めるのであった。 「諸君。お気づきのとおり、君たちは今声が出ない。なぜなら、私が『ゆっくりできな くした』からだ。そう、私は実は、美しく麗しい『ゆっくりできない』お姉さんだった のだ。これからの諸君らの命運は辛苦に染まることになるだろう。ここで死ぬまで私に 蹴られ、殴られ、辱めを受け、子を為して子に食されるのだ、例えるとするならばだが。 諸君らは標準的な被虐ゆっくりとして生きることになるだろう。ゆっくりの知能でこの 部屋を脱出することは不可能だから、もし私が愛想を尽かしたとしても、諸君らはここ で餓える以外の選択肢を持ちようがないのだ。諸君らが私に対して、何らかの延命措置 を述べたいと言うのであれば、私を満足させる行動を以って請願する他に、どういった 手段が取れるだろうか。否。そもそも諸君らは……えい」 親ゆっくりが体当たりをしてきたので、自分でも意味不明であった演説を中断し、踏 みつける。口が塞がっているんだが……踏みつけた足を通して、悲鳴だか呻きだかが漏 れてくる。おお、愉快愉快。 「説明が悪かったか。ええとだな、つまり、お前達は『一生ゆっくりできない』と言う ことだ。私に逆らうと」 ゆっくり達を舐め回すように観察する。未だ状況を理解できない赤れいむ。期待の眼 差しを親に向けている赤まりさ。我関せずとばかりに寝ている赤れいむ。 「赤んぼう可愛いね。でも体当たりされて足が痛いんだよね。むしゃくしゃするから、 よし、潰そう」 踏みつける対象を、親まりさからねぼすけの赤れいむに変更した。 「あ、これ面白い。足の裏で、今にも潰れそうな体を、必死にひねって逃げようとして るんだよな。その蠢いている感触がこそばゆい。あと一押しで皮が裂けて、腐った芋の ようにぶにゃりと崩れそうなんだよね」 親達の体当たりがより強くなる。だが気にする程ではない。 「きっと痛いなんてものじゃあ、ないよなあ。大きな石で体を潰されている感触かな? 丸太に皮の端が挟まって、そのまま丸太の下敷きになる見たいに。餡子が、ゆっくり、 ゆっくりと外側へ移動して行くのって、とても痛いんだろうねえ。人間で言うと、皮膚か ら剥離した骨や筋肉が、砕かれながら搾られているような物だしねえ。可哀想に、まだ小 さい赤ちゃんだと言うのに、私に反抗するゆっくりなんぞを親に持ったばかりに!」 絶命寸前であろう赤れいむを親に見えるよう、足を移動させた。後頭部を押付けている ため、親と対面しているのはぱつんぱつんに膨張し、今にも張り裂けようとしている赤れ いむのいびつな顔であろう。内容物によって限界まで引き伸ばされた皮は、奇妙な笑み以 外に表情を浮かべることは出来ないであろう。横長に膨らんだ赤れいむの左右で、こぼれ 落ちてしまうのをかろうじて堪えているうつろな眼球は、果たして何かを映してはいるの だろうか。空気の詰まった紙風船のように、容易く裂けてしまうであろう赤れいむのその 命を握っているのが誰であるのか、さすがのゆっくりであっても理解出来たのだろう。親 ゆっくりは赤ゆっくりに駆け寄り、助け出そうと健気に私の足を押し返す。 私に反抗しないこと、これからする説明をよく聞くことを理解させた上で、解放する。 瀕死の赤れいむに、言葉を掛けてやることも出来ない家族。ほお擦りすら余命を縮める行 為なのだろうと、ゆっくりなりに理解しているのだろう、力なく舌を使って舐める程度だ。 死んでは元も子もないので、煮詰めた野苺を与えておく。餡子が漏れたわけでもないし、 すぐに回復するだろう。 「説明を再開するよ。ええと、この部屋には、『罠』が仕掛けてあります。50ユクリード、 かっこ1ユクリードは標準的なゆっくりが一跳ねする程度の距離かっこ閉じる、四方のこの 部屋に、タイルが敷き詰められているのです。床を見ると、白と黒がまだらになっているだ ろ? このあるマスを踏むと、ゆっくり出来なくなると言うことだ。例えばこのマスは落と し穴で、下に槍が隠れている。ほら、ぱかぱか開くだろ?」 足で踏むと、開いたタイルの底に、鈍く光る刃が隠されていた。 「君たちは『れいむ』と『まりさ』に分かれて、交互に罠を掛け合ってもらう。……のだが、 今説明しても理解が追いつかないだろうから、今日はこのへんでお終い。みんなゆっくりし ていってね!」 罠の設置された部屋で、声を出すことも出来ないゆっくりがどうやってゆっくり出来るの かは私は知らないが、まあなんとかなるだろう。食事は取らせるしね。 声も上げられず身を震わせて嘆いているゆっくりの家族を後に残して、部屋を出た。その 際、殺傷力のないただの落とし穴を踏み抜いてしまったことは乙女の秘密だ。 寝室に戻ると、ちぇんはいまだ寝ているようだった。もう昼だと言うのに。窓から差し込 む木漏れ日が、秋の深まりを優しく告げているように思える。 雪が降るまでには、家に帰らないといけないなあ。 「らんしゃまぁ~」 つぶやいた寝言は、まだ見ぬ伴侶に向けてのものだろうか。 彼女を起こさぬように胸に抱いて、私も午睡を嗜むことにした。 *次回予告* 家族を襲う数々のゆっくり。 だがそのゆっくり達とて、自分達を襲わねば死あるのみであったことを、ゆっくりの家族は 己の身を持って知ることとなる。 引き離された家族が出会うのは、殺戮の罠の中でしかないのか。 次回「愛、罠、ゆっくり」 1億円宝くじが当たるくらいの期待度で待て!
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/721.html
16スレ目 125 128 「ということで、まりさが先に好きな方を選ぶといいよ」 優しいお兄さんは、ゆっくりまりさに選択の権利を与えた。 お兄さんが用意した遊び道具は二つ。 ひとつは玩具の拳銃。もうひとつは弓である。 もちろん、ゆっくりであるまりさには、このふたつが何かはわからない。 「さっきも説明したけど、この武器を使っての狩りゴッコだ。ルールは――」 「わかってるよ! さきに『こうさん』っていったほうがまけだよ!」 「そうだね。よく覚えていたね」 「おにいさんばかなの? そんなことにかいもいわなくてもわかるよ!」 まりさの“馬鹿”発言に対し、お兄さんは怒りを覚えることは無い。 ゆっくりにもわかるように、ルール説明は簡潔におこなった。二回ではなく何度も。 だから、ゆっくりが話を理解したのなら、それは望むべきことであり、怒ることではない。 「それじゃあまりさはこっち!」 まりさは迷うことなく弓を選んだ。 この弓は、ゆっくりにでも使えるようにと、お兄さんがサイズと重量を考慮した手作り。 竹を割り、火であぶってしならせ、日用道具屋で買った合成繊維を弦に使った一品。 「それはお兄さんの手作りなん――」 「ゆっ!!」 選ぶと同時、まりさは、口にくわえた弓で、お兄さんの脚を叩いた。 人の話など聞いてはいない。 「ゆっ! ゆっ! ゆっ!」 まりさの掛け声、それともうひとつの音、 ばしばしとお兄さんの脚を弓で連打する音が響く。 「……まりさ?」 ばしばしとお兄さんの脚を弓で連打する音が響く。 返事がないようなので、お兄さんはもう一度まりさに声をかけた。 「じゃましないでね!」 が、返って来たのは抗議の声だけだった。ばしばしという音は続く。 「うん、そうじゃなくてね」 そう言われてもなお叩き続けたまりさであったが、煩わしくなったのか、 呆れたような表情を見せた後、弓を口から放し、叩く作業を一時中断させた。 そして、まりさは親が子どもに語るように、 「わからないおにいさんだね! だんまくはぱわーとりーちだよ! ゆみのほうがつよいよ! じょうしきだね!」 そんなことも分からない馬鹿なお兄さんは、その小さくて軽い拳銃で戦うといいよ、と見下した態度。 「そうじゃないんだ、まりさ。それもあるけど、約束した開始の合図がまだだね?」 「ゆ!? じゃあさっさとしてよね! おにいさんはほんとうにぐずだね!!」 そうだねとお兄さんはうなずく。じゃあ合図をいくよ。 「ゆっくりしていってね!!!」 取り決めてあった開始の合図、一人と一匹の声が同時に響いた。 直後、その余韻を打ち消すが如く、ばしばしとお兄さんの脚を弓で連打する音がする。 「おにいさんゆっくりしていってね!!!」 「ていこうはむだだよ!」 「まりさがすっきりするまでおにいさんぎぶあっぷしないでね!」 言いたい放題である。 それ以外の時は弓をくわえ、お兄さんのに叩きつける。マイペース。 お兄さんはお兄さんで、 「うん。ゆっくりしているよ」 と暢気に石を椅子代わりにして座り、玩具の拳銃をいじりながら、空を見上げている始末。こちらもマイペース。 いい天気だ。夏の陽射し、夏の風。 寺子屋に通う子供たちは、仲のいい友達と集まって、森や川へと冒険に繰り出しているのだろう。 そんな彼らの笑い声と夏という季節が、お兄さんを少年時代の遊びへと駆り立てた。 いい天気だ。お兄さんはそう思いながら、胸ポケットに入れた小さな紙箱を取り出す。 『カネキャップ弾 8連発×12リング 入り』 取り出した箱にはそう書かれていた。もっともゆっくりは字が読めないので関係のない話ではある。 まあ、読めない以前に、お兄さんが行った動作に対して、まりさは露ほどの注意も払ってはいなかったのだが。 ばしばし ばしばし ばしばし ひたすらに弓での打撃を繰り返す。 お兄さんのことなど関係ないと、ゆっくりまりさはマイペース。 このゆっくりは、自分に危害がおよぶなど、カケラも考えていない。一方的な攻勢しか信じていない。 これは決して驕りではなく、まりさにその想像力が欠如しているためだ。 ゆっくりブレイン――誰がゆっくりを責められようか。むろんお兄さんに責める気は欠片も無く、 ばしばし ばしばし ばしばし 単調なBGMを耳に、お兄さんは箱からリング状のモノを取り出し、玩具の拳銃にはめる。 ああ、なんて懐かしい感触だろうか、童心に―― 「おにいさん! まりさはそろそろつかれてきたよ! さっさとぎぶあっぷしてね!!」 パンッ 「!?」 突然の軽い烈音。ゆっくりまりさは、それに身をすくませ弓を落とす。 「…………」 音の発生源は、お兄さんが手に持った玩具の拳銃。音だけの拳銃。 その拳銃が火薬を炸裂させた音だ。拳銃から薄く煙が立ち上り―― 懐かしい匂いが、中断させられた過去の記憶に浸る行為を再開させる。 ……とはいえ、その記憶に浸っている場合でもない。 ので、目の前で固まったままのゆっくりに声をかけた。 「ゆ? ……ゆゆ! びびびびび、びっ゛ぐり゛ー!!!」 「やや、まりさを驚かせてしまったね」 いきなりだったけど、そんなに驚くとは思わなかったんだと言い訳だけを述べる。 「まりさをおどろかせたつみはばんしにあたいするよ! ゆっくりできないおにいさんはしんでね!」 「今、死ぬのは嫌だなあ……」 「じゃあゆっくりしんでね!!!」 「それも困るなあ……」 少しも困ったような表情ではない。 その表情に、まりさは(生意気にも)不快感を覚えたが、お兄さんは拳銃握ったまま手放さない。 さすがのゆっくりブレインでも、あれが音の発生源だとわかる。 まりさを驚かせた失礼な武器だ! 「でもまりさのぱーふぇくとゆっくりぼでぃはきずつかなかったけどね!」 ゆふふんとその場にのけぞる、まりさ。まんじゅうが転がったようにしか見えないが、 (胸を張っているつもりなんだろうか?) 訊ねる気はないので、そういうことにしておこうと、お兄さんは雲を仰ぎみながら思う。 あの雲、龍みたいだなあ。そういや子供の頃にも似たような形をみたなあ。あの時ははしゃいだっけか。 ああ、本当にいい天気だ。 「おにいさんのぶきはへなちょこだね! がっかりうえぽんだね!!」 「そうかい」 この玩具の拳銃と弾は、駄菓子屋が減ってからというもの、一部の土産物屋などでしか見なくなったものだが、 最近は100YENしょっぷなどで気軽に手に入るようになり、お兄さん的には嬉しい品であった。 「でもまりさはかんだいだからこうかんしてあげるよ!」 「……どういうことだい?」 さきほどまでディスっていた品を交換するという提案に対し、当然の疑問を返す。 「ゆゆ! ほんとうにばかだねおにいさん!」 「そうかい」 「そうだよ! あたまがかわいそうなおにいさんにおんしゃだよ! びゅーてぃふぉーまりさがこうかんしてあげるよ! そのがっかりうえぽんとまりさのごーじゃすうえぽんをだよ!」 よかったね! もっと感謝してよね! とこちらの答えを聞かずに武器を交換する気だ。 現にこっちの拳銃をくわえて引っ張り自分の物にしようと奮闘中。 片手とはいえ、人間の力には勝てず、奪えないでいるが。 ああ、弓に飽きてきたのだな――とは欠片も思わない。……ことにした。 鼻息荒く挑むまりさから発せられる、生暖かいナニカがお兄さんの手の甲に当たる。 鼻息荒くと雰囲気重視で表現したものの、実際は鼻息ではないだろう。 ゆっくりの鼻などみたことがないし、第一鼻息をかけられては気持ち悪い。 「なにしてるの! はやくぶきをすててね!! のろま! ぐず!」 何故か罵られた。まりさ種は特に口汚いというが、度が過ぎる気がしないでもない。幻聴だろう。 幻聴なら無視しても良かったが、生暖かい不快な何かが手にかかるのは事実らしく……。 まあゆっくりまりさが、そうしたいというのならと、お兄さんは快く交換に応じる。 拳銃を渡したところで害はないだろう。玩具であるし、音がするだけ、弾は出ない。 ……ひょっとすると火薬の爆発で火傷をすることがあるかもしれないが、変な使い方をしなければ大丈夫だ。 「一応、注意しておくよ。これには火薬が――」 親切心からの言葉の途中で銃はひったくられた。 相手はゆっくりであるからして、こういう事は既にわりきっている事と、続きを告げる。 「ええっと、キミ達は口を使うだろうから――」 「ゆっ!!!」 弓が綺麗な弧を描いて、飛んだ。 ――そうそう、今の弓をくわえて投げたみたいに、口を使うから……。 「ゆっゆっゆ~♪ おにいさんのぶきはあっちだよ! ゆっくりひろってきてね!!」 笑顔のまりさ。 お兄さんは先ほど同様、笑顔ではなく無表情。 まりさはそれを面食らっている状態だと、ゆっくりブレイン的に解釈し、より一層の笑顔をみせる。 爽やかとは程遠笑みだ。夏だというのに悲しい話だ。 「わかったよ、まりさ。でも銃の使い方は分かるかな?」 「ゆゆ!? ばかにしてるの!? まりさをばかにしてるの!?」 「してないよ。で、分かるのかい?」 「おとがなるよ! じょうしきだよ!」 さっき見たからわかるよ! とまりさ。 お兄さんは空を眺め――そして、まりさに視線を戻した。 「鳴らし方は?」 「そんなこともわからないのおにいさん! ばかなの? おにいさんほんとうにばかなの?」 うんうんと、お兄さんは三度頷き、 「わかるんだね」 「わかるわけないよ! さっきみたばっかりだよ!? おにいさんがばかななのはゆっくりりかいしたよ!!」 「なるほど」 お兄さんも理解した。 「さっさとつかいかたをおしえてね!」 お兄さんは、まりさに拳銃の構造と使い方を教えた。時間は30分とゆっくりめにかかった。 銃を持って説明すれば早かったのだが、まりさが嫌がった。 自分のものだという意識があるのか、それとも相手に武器を渡したくないからなのか。 それに加え、距離を置いて説明させられた。おかげで部品の説明が面倒だった。 遠くで説明するのなら、ついでに弓を拾っていいかい? とお兄さん側から訊ねてみたが、 相手が武器の性能を把握している間に、もう一方が準備するのは卑怯だと罵られた。 ので拾うのは止めた。 そなこんなで30分。 半分近くが内容の繰り返しで、もう半分がまりさの罵声だった30分間。 お兄さんは笑顔ではなかったが、怒った顔でもなかった。 ただ最後に、火薬で火傷する危険性を、まりさに教えておくべきだと思い、火薬の詰った新品のカネキャップ弾を1リング取り出して―― 踏みつけた。 「!!!」 複数の烈音の後、お兄さんは爆発した火薬で黒ずんだ靴の裏を見せる。 「こういう風になりたくなければ、銃をくわえちゃ駄目だよ?」 お兄さんは体験派だったが、実演ですませる場合もある。 再び火薬の炸裂音で固まっていたまりさであったが、復帰するとさっそく銃を使おうと動き出す。 お兄さんは、言うべきことは言ったと、弓のほうに歩いていきながら、 ――あ、まりさはアレが音しか出ないことを、最後まで理解していなかった気がする。 と思ったが、まあ大丈夫だろうと、意識を切り替えた。まりさだし。 「ゆ! ゆ! ゆ! ゆっ! ゆっっ! ゆ~~~~~~っ」 まりさは、顔を真っ赤にしながら(……顔ってどこまでだ?)、舌を必死に伸ばしている。舌で引き金を引くつもりだ。 頑張れまりさ。とお兄さんは心の中で応援する。弓を拾うついでに。 玩具の拳銃とはいえ、舌で引き金を引くのは難しいだろう。頑張れまりさ。 火傷するかも、と釘をさしているので、口でくわえる事も、のしかかって抑える事もせず、銃は地べたに置かれている。 つまり、まりさは純粋に舌“だけで”で引き金を引かなくてはならない。ますます頑張れまりさ。 「ゆ~~~! ゆ~~~!」 引き金を舌で引くために、試行錯誤するまりさは頑張っているといえる。 今なんか横にごろりと転がりながら、地べたに向かって舌を伸ばしているではないか。 うわぁ 傍から見て、実に滑稽な姿。そんな事を意に介さず、事に挑んでいるのが、まりさだ。 頑張っているじゃないか。とても真似できないよまりさ。頑張れ。と、お兄さんは心から思う。 まりさはゆっくり頑張っているようなので、お兄さんは弓の近くに落ちていた枝を物色し始めた。 「ゆ! ゆ! ゆ! ゆっ! ゆっ!? ゆ~~~っ!」 今度のBGMは、さっきより五月蝿いが、脚から聞こえない分、多少は心地よい。頑張れまりさ。 ふと疑問が湧いた。 まりさは舌を伸ばし続けているわけだけど、つったりしないのか? というか、ゆっくりの舌はつるような構造なのか? そこら辺で、お兄さんはその思考を切り止めた。そういうのは学者の仕事だ。 お兄さんはお兄さん。お兄さんが今すべきことは、狩りゴッコ。どきどき童心タイム。 拾った枝の中から、いい塩梅にまっすぐなものを選び、弦につがえ―― 「まりさー」 「なにおにいさん! じゃましないでね!!」 射った。 躊躇い無く放たれた矢の代わりの枝は、まりさの真横に落ち、軽く跳ねた。 純粋な矢でないこと。水分の少ない軽い枯れ枝を選び、加工もしていないのだから、こんなものだ。 だが故意に外したとはいえ、射られた相手はたまったものではない。ゆっくりならなおのこと。 「――っ!? なにするの!? あたったらあぶないよ!」 「危ないね、まりさ。でもちゃんと外しただろう?」 というか、あれだ。まりさはゲームのルールを覚えているのだろうか。 いや覚えてはいるのだろう。ただ、相手に攻撃されるという事柄が、無条件にないと思っているだけで。 あるいは、ゆっくりブレインのメモリは貴重であり、非ゆっくり的な事柄は登録されていないのか。 実にどうでもいいことなので、結論だけにした。 「まりさは幸せなゆっくりさんだなあ」 「なにいってるのおにいさん! それにいまのははずれたっていうんだよへたくそだね!」 頬を膨らませ、ぷんぷん怒ってはいても、ゆっくりとは幸せなモノらしい。哲学的だ。 「うんじゃあ外した」 わざとだ。 「ぷんすぷんす! おにいさんさっきからふかいなふいんきをだしてるよ!」 「そうかい」 「ゆっくりはんせいしてね!!!」 「雰囲気か、難しいことを言うよね」 「はんせいしてないよ!」 「そうかい」 「そうだよ!」 そうなのかー、と両腕を外側にして水平に伸ばすことはしなかった。 はいはい、わろすわろす。平静を保って、魔法の呪文を心で唱える。わりとオススメだ。 「あとひきょうだよ! じゅんしんなまりさをだましたね!」 「……騙した?」 何か騙すようなことがあっただろうかと、お兄さんは首をかしげる。 卑怯なこともした覚えがない。ひょっとすると先ほど枝を飛ばしたことだろうか? その線もない。何故なら一声かけた上で、あまつさえ外すように射ったのだ。 「ふいうちしたよ!」 まりさの意外な発言。お兄さんは純粋に驚いた。不意打ちって言葉を知ってるのか。言ってるだけかもしれないが。 「ゆみのつかいかたもうそをついてたよ! しんでわびてね!」 「死ぬの?」 「さっきのやりかたをおしえてからしんでね!」 ゆっくりの言うことは複雑だなあと、このことを寺子屋の子供達に教えてあげれば、夏休みの宿題にするだろうか? しないか? そのことは後に回すとして、お兄さんは目の前にいる、ゆっくりまりさに弓の使い方を教え始めた。 もちろん、弓の使い方を知っているって言ったよね、とは言わなかった。 弓の使い方を教えるのに、さほど時間はかからなかった。 拳銃の使い方を教えるのに比べて、だが。 使い方を教えた相手といえば、聞くだけ聞いたとばかりに、話の途中で動き出した。 枝を数本と弓をくわえ、スリーステップでお兄さんとの距離を取る。 賢く機敏なまりさは、ノロマなお兄さんの隙を見事についたのだ。 ――というつもりなのだろうと、お兄さんは慣れた表情で、ゆっくりまりさの次の行動を待った。 まりさは、いそいそと枝と弓を足元(……足?)に置き、ふぃーと一息を付いた後、 「おにいさんばかだね! ぶきをてばなすだなんてのうがゆっくりしすぎだね! ばかだね!」 「かしこいまりさはこのゆみでおばかなおにいさんをやっつけるよ!」 勝利宣言のようなものをした。 ……しかし、たかが3歩跳ねただけで一息つくのか。あ、機敏に動いたからからなのか。気分の問題かな。 まりさの恐るべき勝利宣言を前に、お兄さんは自分にとってどうでもいいことを、ゆっくりと考えていた。 その無防備な姿を逃すまりさではない。既に攻撃態勢に入っている。 地表に飛び出した岩の一部に弓をひっかけ固定し、枝と弦をくわえ射撃準備。 ――ゆっくりとは本来、攻撃的なものである。 ゆっくりは基本的に防御を考えないイケイケだ。 自分のやりたい事は通って当然であり、自分に害は降りかかるという考えには至らない。 「ゆっゆゆゆゆゆゆゆゆ……」 馬鹿なお兄さん。 まりさは弓を引きながら、己の頭脳の明晰さと、人間の愚かさに浸っていた。 まりさは賢い。この勝負を相手が申し込んできた時に、既に勝敗は決していた。 その上で、相手は武器を手放し、まりさは人間の武器を手に入れた。 なんという巧妙な駆け引きだったのかと、自分の策に酔いしれる。 この狩りゴッコが終わったら、ゆっくりの群れに弓を持って帰ってやろう。 他のゆっくりでは、この弓を使いこなすことはできない。まりさこそが英雄だ。 人間も、どんなゆっくりも、自分には勝てない。 あの人間は『こうさん』といったら負けだと言っていた。 まりさは賢いので覚えている。それなのにあの人間は何度も繰り返した、馬鹿なのか? 馬鹿は可愛そうだとまりさは思ったので、謝ったら相手の負けでいいことに決めた。 謝 っ て も 許 さ な い け ど ね ! 「ゆっゆゆゆゆゆゆゆゆ……ゆーっ!」 限界まで弓を引いたまりさは、口から弦を離す。 その口は自然と笑みを作っていた。己が信じる未来が約束されたものの笑みを―― 「――ゆべぶわっ!?」 だからこそ、この痛みの原因がなにか理解できなかった。 「ゆべぶわわわぶも!?」 枝が飛んでいく。望まぬ方向へ。意図せぬ方向へ飛んでいく。 自分も飛んでいる。苦痛とともに飛んでいる。 空を舞いながら、不可解な状況に混乱していた。 何故? 何故? 視線の先に映る枝も何故あっちに飛んでいくのだ? その考えがまとまるよりも先に、まりさは地面に叩きつけられた。 「ぶべっ!?」 めまぐるしく襲い掛かる不条理。まりさが思い描いていた未来とは程遠いこの状況。 それでなお、まりさのブレイン、ゆっくりブレインはこの状況に対して、最適な解を導き出し、その解通りに動く。 どういうこと!? ゆっくり説明してよね!!! 「ごひゅーごひゅー! ゆぶぶべべべびぼーっ!?」 まりさにとって当然の権利である非難であり質問は、お兄さんには届かなかった。 言葉になっていなかったというべきか。 「……っ!?」 自分は何を言っているのだと、まりさは愕然としながら、更なる状況の説明をお兄さんに求めるべく、体を動かす。 叫んだ先にお兄さんの姿がなかったこともある。 そういえば、自分は空を舞って、先ほどとは別の場所にいるのだ。 何故そうなったのかわからないが、そこまで理解が届いた自分はやはり賢い。残りの説明は人間にさせればいい。 どこだ、そのお兄さんはどこだ。視線をめぐらせながら、体を動かそうとするが――動かない。何故!? 「大丈夫かい、まりさ?」 大丈夫なわけがない! ゆっくりしてないで理解してよね!!! お兄さんはさっぱり理解できていなかった。 何故? 何故だろう。何故、あのまりさはあんなことをしたのだろうか? 弓は教えたとおり固定した。 確かにまりさは弦と枝をくわえて引っ張った。間違ってはいない。 ただ固定した弓の内にその身を置いて、くわえた弦を外側に押す形で引っ張ったのは何故なのだろう。 お兄さんの理解を超える行動。まりさにはまりさの考えがあるに違いないと、お兄さんは何も言わなかった。 お兄さんは相手の自主性を重んじる。 相手に背中を見せながら、弓を射るという珍しい芸当を見せてくれたのなら、見守るしかない。 遊びとはいえ、勝負の最中に別の遊びに興じるとは、ゆっくりとは本格的ゆっくり派であるようだ。 その珍芸も終わったようなので、お兄さんは見守るのを止め、芸の駄賃にとまりさを抱え上げた。 ゆべふゆべふと、先ほどの興奮が冷めやらぬのか、言葉にならない叫びをあげている。 どうやら何かを探しているようだったので、探し物の方向へ向きを変えて地面に下ろしてやった。 「あれだろ、まりさの探し物は?」 「――ゆべっ! ゆ、ゆぶべべふぇ? ゆべっゆっ!?」 ごろんと転がった、まりさの下半身。 やはり探し物はこれだったようだ。まりさは発見に感情と身を震わせている。 なに、お礼はいらない。その反応だけで充分だ。 下顎を切り取るように、弦によって口から底部へと斜め下に割かれた下半身。 泣き別れになり中身を覗かせる下半身との感動の再会に、まりさは涙を流す。 邪魔をするのも無粋だと、お兄さん自分の作業を行うことにした。 枝を拾い、それを短く折る。ズボンのポケットから取り出した短刀で、枝先を削る。 短刀でまりさを驚かしてしまうかもと思っていたが、杞憂だったようだ。 まりさは下半身を眺めるので忙しいらしい。 お兄さんとしても、短刀でまりさをどうこうするつもりはなかった。 短刀はあくまでも加工用の道具であり、狩りゴッコの武器ではない。 お兄さんの武器は、玩具の拳銃と、カネキャップ弾と、現地調達した枝を短く折り削って尖らせた小さな杭だ。 まりさがゆっくりしていてくれたおかげで、杭を十数本作る余裕ができた。 が、まりさを待たせるのも悪い。今度はこちらが芸を見せる番だ。 「まりさ」 「ゆばばふぉっ!?」 一声かけると、まりさの怒気を孕んだ声が返って来た。やはり待たせたの悪かったらしい。 こちらを睨む眼光に銃口をあわせる。 ――なんなの?―― とまりさの瞳は物言うようであった。 怒りの中に蔑みがあった。自分より高い存在を見上げる瞳は、それでいて見下すようであった。 なんとまあ矛盾を孕む存在なのだろうか、ゆっくりは。 2秒で忘れ去るような感想を抱きながら、お兄さんはこれだけは理解していた。 この拳銃は音しかでないと、まりさは思っている、と。 ではサプライズだ。お兄さんの芸をみせてあげよう。 銃口の先に、小さな杭がはめ込まれている理由を教えてあげよう。 パンッ 引き金が引かれ、まりさの予想通り音が鳴り――予想を超えて痛みが来た。 「ゆぶーっ!? ゆぶぶぇっ!?」 まりさの左目から光が消え、それと引き換えに激痛が与えられる。 宙を舞ったときのように、中身をぶちまけながら叫ぶ。 予想外だったのはお兄さんもだ。 のたうちまわるかと思ったが、まりさはそんな無様な姿をみせず震えるのみ。 我慢強いねまりさ。頑張れまりさ。下半身も応援しているぞ。 二発目の杭を銃口の先に詰めるついでに、まりさを鼓舞する。 杭の太さは拳銃の口径に近い。隙間ができると困るからだ。 杭を飛ばす原理は空気鉄砲と同じ。きっちりと栓をしてるからこそ成り立つ。 音を鳴らすのは火薬によって爆ぜた空気。その音と空気は銃口を通って出て行く。 だから銃口の先を杭で栓をしてやれば、出口を求めた空気が吹き飛ばしてくれるというわけだ。 しっかりと杭で栓がされているのを確認すると、お兄さんはまりさにも確認を求めた。 「まりさ、続けるかい?」 「ゆびゅひゅびゅひゅぶっ! ゆびゅひゅびゅひゅぶっ!」 『こうさん』とは返ってこなかった。勝負を続ける気らしい。 お兄さんとしては、『こうさん』でなくとも、まりさが謝ればそこでゲームを終わらすつもりであったが、 まりさはゲームの続行を望んだ。お兄さんとしてはその意思を尊重する他ない。 ゆっくりは強情であると聞いていたが、なるほど最後まで意地を通す気概に溢れている。 「わかったよ、まりさ」 「ゆぶっ!」 この表情は、遅いよ馬鹿なお兄さん! といったあたりか。いや邪推過ぎる。勝手な想像だ。 「パワーもリーチもない小さな銃だけど、お兄さんは最後まで善戦するね」 「ばびぶぶべっぼがぼあっー!?」 ダミ声で叫ぶ姿に、まだ充分な体力があることが読み取れる。頑張れまりさ。 しかし、体力・意思ともに充分であれ、これは狩りゴッコ。武器がなければ意味が無い。 「ちなみに弓はあそこだよ」 指し示す方向はまりさから4m程度の距離。なに、ゆっくりでもすぐの位置だ。 「それとも一度、戦術的撤退をするのかい? ま、どちらにせよ走らないと。ハリーハリーまりさ」 「がぼひゃぶびゃびゃーっががっ!」 今の返答からは、どちらを選んだのかは読み取れなかったが、まりさは移動する気配をみせない。 つまり、まりさは、“どちらでもない”ことを選んだわけだ。 ナイスガッツ。いいガッツ。退く意思はなく、媚びる意思はなく、省みることのない継続する意思のみを感じる。 ――狩りを続けよう。 引き金に意思を宿す。ゲームの継続を望む相手とあらば躊躇いはない。 少年の頃、この杭打ち拳銃で人を狙ったことはなかった。生き物を狙ったこともない。 それは今も変わる事がない。大人になって分別がつくようになったから余計にだ。 この銃口を人間に向けることはない。生き物にも向けることはない。 ゆっくりは人間でも生き物でもない。銃口を向けることに一片の躊躇いはない。 第4ラウンド。その仕切りなおしに、開始の合図があってもいいだろうと、取り決められた言葉をお兄さんは口にする。 「ゆっくりしていってね」 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1101.html
やあ、僕は虐待お兄さん。 趣味はもちろんゆっくりの虐待さ。 さあ、今日もゆっくりを虐待して楽しもうかな。 「ゆ~」 おや、早速第一ゆっくりを発見。 素人ならここで虐待(笑)しちゃうんだろうね。 でも僕はエリート虐待お兄さんだからそんなもったいないことはしない。 このまま巣まで追いかけて家族丸ごと虐待してやるのさ。 「ゆっさゆいさゆっさゆいさ」 意外と足が速いなあのゆっくりれいむ。 流石は野生生物というべきか僕も追っかけるだけでけっこう疲れちゃったよ。 息切れてきたな、喉も渇いたし…おや? 「ごーく、ごーく、しあわせー♪」 あのれいむは巣に帰る途中で川で水を飲むのが習慣みたいだね。 僕もついでに喉を潤せたしラッキー。 「ゆーゆっくりかえったよー」 「ゆっくりおかえりなさいー」 そんなこんなで遂にゆっくりれいむの巣を発見。 家族もたくさん居るみたいでこれは虐待し甲斐がある。 さて、見てる人もそろそろ退屈してきただろうし本格的な虐待に移らないとね。 「ゆー、いろんなところでゆっくりしてきたからゆっくりつかれたよ きょうはもうおうちでゆっくりするよ」 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 巣の中に進入完了。 さて、どうやって虐待してあげようか。 「ゆ!?ここはれいむたちのおうちだよ!かんけいないこはゆっくりでていってね!」 「ゆっくちでていっちぇね!」 うーんあの赤ちゃんゆっくりがうざったいなぁ まずあれから潰しちゃうかな。 僕は早速ぐりぐりと赤ちゃんゆっくりを押しつぶした。 「ゆうううううううう!?やべでええええええ!!!」 「れ゛い゛む゛のあがぢゃんがああああああああ!!?」 赤ちゃんゆっくりは僕に圧迫されて顔を真っ赤にして今にも餡子を噴出しそうだ。 そうなったらこのれいむはどんな顔を見せてくれるかな? 虐待お兄さんとしてはそういうのが楽しみで楽しみで仕方ない。 「れ゛い゛ぶのあがぢゃんがら゛は゛な゛れ゛ろおおおおおおおお!!」 すごい形相でお母さんれいむが突っ込んできた。 おお怖い怖い、でもゆっくりごときの体当たりで人間のこの虐待お兄さんを倒せるとでも? 「ゆ゛ぎぶぇええ!?」 痛い、おかしいなこのゆっくりれいむ異常に強いぞ。 この僕が吹き飛ばされるなんて… あ、赤ちゃんが今の衝撃で潰れちゃってる。 もっとじっくり虐待したかったのになあ。 「よ゛ぐも゛れ゛い゛ぶのあがぢゃんおおおおおおおおおおお!!!!!」 赤ちゃんが潰れて逆上したお母さんれいむが凄まじい勢いで体当たりを繰り返してくる。 なんでだ、こんな体当たりなんとも無いはずなのに痛い痛い痛いこのままでは死んでしまう どうなってるんだゆっくりがこんなに強いなんてそんなことあるわけが無いのに痛いよ助けて 僕は虐待お兄さんなんだぞゆっくりに殺されるわけがない虐待お兄さんだぞ僕は虐待お兄さんだぞ 駄目だ勝てない潰される痛い痛い体がひしゃげる痛い助けて痛い潰れる痛い潰れる助けて痛い 助けてくれ嫌だゆっくりに殺されるなんて誰か助けて痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い 「ゆ゛っぐりぢねえええええええええええええええええええええ!!!」 餡子が餡子が餡子が死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ 「ま゛り゛ざも゛っどゆ゛っぐり゛ぢだがっだああああああああああああああああああ!!!」 ―――――――――――――――――――――……・・・ 「どうだい、僕特製の虐待ホームビデオは」 男はビデオデッキからテープを取り出すと感想を相方の男に聞いた。 「おもしろいことを考えるもんだな、ゆっくりに自分を虐待お兄さんだと思い込ませるなんて どうやってやったんだい?」 聞かれた男は軽く拍手しながらその内容を褒め称えた。 「まず鏡張りの箱の中に入れてお前は誰だ、って録音されたテープを延々と聞かせ続けたんだ 三日もしたら自分でもお前は誰だって言うようになってさ そうやってまずゆっくりのアイデンティティを壊して後は虐待お兄さんのアイデンティティを植え付けていくのさ とりあえずお前は虐待お兄さんだと言い聞かせるところから始めて段々とね」 男は自分の手腕を自慢げに説明した。 それを聞いて相方の男は感心すると同時に問題点を指摘し始めた。 「ただ残念なのはゆっくり語が完全に抜け切ってないところだね それにいくらなんでも独り言多すぎないかい?考えてること全部口で言っていたよあのゆっくり まあそれはそれでおもしろいけど」 自慢話に水を差されて少し男は不快そうにしたがすぐに首を横に振って指摘された問題点に関して認め始めた。 「それはこれからの課題さ、何せずっと音声で暗示をかけ続けてたせいか ゆっくり自体も自分で喋って自己暗示する癖がついちゃってずーっと自分が虐待お兄さんってことを喋りっぱなし ゆっくり語については…アイデンティティの壊し方が甘かったのか そもそもゆっくり語がゆっくりの自己なんかよりもっと生理的かつ根源的部分から発せられてるからなのか その辺ははっきりさせていきたいところだね ま、初のお披露目にしては上出来だろ?」 「全くだ、感嘆したよ」 男達は笑いあってコツン、と持っていたグラスを傾けあって乾杯した。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1448.html
「ほら!れいむ見てよ!きょうはどんぐりみつけたんだよ!!!」 「ゆゆ!れいむだってばったさんとってきたもんねー!!!」 お互いの収穫を見せ合っているのはゆっくりれいむとゆっくりまりさだ。 そろそろ本格的に冬入りしようかという時季、この人里はなれた山のふもとのゆっくり村に住む 100匹近いゆっくりたちは毎日ほとんどの時間をえさの確保に使っている。 「ゆっくりかえってきたよ!!!」 巣へ帰ってきたまりさは口に入れていたどんぐりをはき出し、子供たちに見せた。 「おかーしゃんしゅごーい!!!」 「さすがだね!!ゆっくりできるよ!!!」 子供たちは大喜びだ。それを見た親まりさはすごいでしょ、とばかりに体を膨らませて 凄さをアピールする。 このようなことがここ毎日行われていたが、いつもと違うのはここからだ。 「お゛があ゛ざあ゛あ゛あ゛あ゛ん゛!!!」 すさまじい形相をして息を荒立たせ、ゆっくりらしからぬスピードで子まりさが巣へ戻ってきた。 「どうしたの?ゆっくりしていってね!!!?」 親まりさが落ちつかせるも、子まりさはまだ正気に戻っていない。 「はぁはぁ・・・じらないゆっくっ・・・じらないゆっぐりがぎでるよ゛お゛お゛!!!」 ふと外を見ると広場のほうに人だかりならぬゆっくりだかりができていた。 「ゆゆっ!!なんだかおかしいよ!!こどもたちはここでゆっくりしててね!!!」 親まりさはただならぬ雰囲気を感じ、急いで広場のほうへ駆け出していった。 「みんなゆっくりきいてね!!!」 まりさが広場に着くとゆっくりだかりの真ん中あたりから聞きなれない声が聞こえた。 「わたしはかなこ!あの山からきたんだよ!!」 輪の中心を見てみると青くうねった髪と背中の大きなしめ縄が特徴的なゆっくりがいた。 ゆっくりかなこの指すほうを見てまわりのゆっくりたちがざわつき始める。 かなこが来たところはあの恐ろしい妖怪の山のようなのだ。 「ゆゆ!?かなこはあのお山からなにをしにきたの!?ゆっくりせつめいしてね!!!」 回りのゆっくりたちがうろたえる中、村のリーダーれいむが落ち着いて質問を投げかけた。 リーダーれいむの核心を突いた質問にかなこはゆっくりと口を開く。 「みんな!今からかなこがいうことをゆっくりしんじてね!!」 村中の視線がかなこに集まる。 「かなこにごはんを分けてくれたら2倍にしてかえしてあげるよ!!ゆっくりしんじてね!!!」 普通の人間であれば何を支離滅裂なことを言っているのだろうという疑念が湧き上がるのだが、 餡子脳は違っていた。 「これで冬のたくわえがふえるよ!!」 「いつもより2ばいゆっくりできるよ!!」 「ゆっくりしないでたべものもってくるよ!!」 ほとんどのゆっくりがかなこの言葉に大興奮している。そして、皆が食べ物を取りに巣へ帰ろうとしたその時、 リーダーれいむとその他年長ゆっくりたちがそれを止めた。 「みんな、ゆっくりかんがえてね!」 「見たことないゆっくりはしんようできないよ!!」 「みんなからごはんをだましとってゆっくりさせないつもりだよ!!!」 すると巣へ帰ろうとしていたゆっくりたちの動きが止まる。そしてゆっくり考えた結果、皆が一旦もとの場所へ 戻った。ゆっくりというのは何かの発言にとても流されやすい。 「よくもありすたちをだまそうとしたね!ぷくーっ!」 「むきゅん!そんなつごうのいいはなしなんてないよ!」 「ごはんはゆっくりじぶんでとってね!」 「はやくかえってね!!」 体を膨らませて威嚇するもの、飛び跳ねて怒りを露にするもの、罵声を浴びせるものなど様々な表現でよそ者である ゆっくりかなこを排除しようとする。 「だましてなんかいないよ!!ゆっくりしんじてね!!!」 村のゆっくりたちにじりじりと詰め寄られたかなこは信じてもらおうと必死に呼びかける。 「もうここでゆっくりしないでね!!!」 ついに痺れをきらせたゆっくりありすがかなこに体当たりを仕掛けた。 「ゆ゛っ!ゆっくりやめてね!」 1匹が動けばあとは簡単。それに続きほかのゆっくりたちも一斉に体当たりを始める。 「ゆっくりしね!」 「いまならゆるしてあげるよ!」 「はやくお山にかえってね!」 約10匹のゆっくりに囲まれたかなこは完全に身動きが取れなくなってしまった。 「い゛だい゛!!どお゛じでごんなg・・・ぐべぇえ゛え゛!!」 ありすがかなこの上になり飛び跳ね始めた。着地するたびに回りのゆっくりから大きな歓声が湧く。 ありすが最後の一撃を食らわせようとしていたとき、ついに救世主が現れたのだ。 「みんなゆっくりやめてね!!まりさはゆっくりしんじるよ!!!」 口に食べ物を含んだ1匹のゆっくりまりさが現れた。このまりさはこの村に長く住み着き、村の中でも 信頼されているゆっくりのうちの1匹だ。まりさは口から今日収穫したばかりのどんぐりを出し、続けてこう言い放った。 「かなこもおなじゆっくりなんだよ!!ゆっくりさせてあげてね!!!」 この力強い言葉に、先ほどまで暴れていた若いゆっくりたちは急いでかなこから距離を置いた。 まりさは傷だらけのかなこに近づき、頬をなめてあげた。 「ありがとうまりさ。もうだいじょうぶだよ!」 かなこの傷も癒えたところで、まりさは先ほどのどんぐりを10個ほどかなこの側に置いた。 「とりあえずはこれだけだよ!ゆっくりもってかえってね!!!」 そう言ってまりさはゆっくりと微笑んだ。このゆっくりまりさはなんと良いゆっくりなのであろう。 彼女こそがゆっくりのあるべき姿だとかなこは感じた。 「もーっ!まりさはなんでわからないの!?」 しかし、少々頭の切れるゆっくりにはそれは愚行にしか移らなかった。 「ゆゆ!れいむにはかんけいないよ!これはまりさのごはんなんだからね!!」 「じゃあふゆのあいだゆっくりできなくなってもしらないからね!みんなもたくわえをわけちゃだめだよ!!」 リーダーれいむは頭から蒸気が出るくらいに怒って自分の巣へ帰っていった。それに続くように他のゆっくりたちも 次々と帰っていった。 ついに広場に残っているのは2匹だけになった。2匹は明日また会う約束をし、それぞれの帰路へとついた。 次の日、まりさは嬉々として森の中を飛び跳ねていた。実はさっきかなこと会ってきたのだ。 まりさが頭の上に乗せているのは2本のサツマイモ。昨日の約束は果たされたのだ。 「ゆ~んゆ~ん♪ゆっくりかえってきたよ!!」 巣に帰ってきたまりさは頭上のサツマイモをごろんと転がし子供たちが見える位置に置く。 「おかあさんこれなに?」 「みたことないよ!!」 はじめて見るその赤紫の物体に子供たちは興味津々だ。 「これはね、おいもだよ!おかあさんもね、1かいしか食べたことないんだよ!すごくおいしいよ!」 まりさが興奮気味に話す。このあたりではイモ類は滅多に見つからないようだ。 子供たちは初めての食べ物に少しだけドキドキしながらかじりついた。 むーしゃむーしゃ・・・ 「うめぇ!これめちゃうめぇ!!!」 「あまくておいしいよ!!」 「これはゆっくりできるあじだよ!!!」 子供たちはとても幸せそうにゆっくりとサツマイモを丸々1つ平らげてしまった。 「「「しあわせー!!!」」」 まりさ一家が盛り上がっていると入り口のほうから声がした。 「ゆっくりしていってね!!」 お決まりのあいさつをして巣に入ってきたのはリーダーれいむであった。昨日のことが心配で様子を見に来たのだった。 れいむが足を進めていくと、あるものが目に飛び込んできた。 「ゆゆゆゆゆっ!!おいもがあるよ!!どこでみつけたの???ゆっくりこたえてね!! れいむにもおいもたべさせてね!!!」 サツマイモを見つけたれいむはよだれを垂らし、やはり興奮気味にまりさを問いただした。 「これはまりさたちのおいもだよ!!!きのうのかなこからもらったんだよ!!!」 まりさはサツマイモの前に立ち、れいむを退けるようにぷくーっと体を膨らませた。 「ゆ゛べえ゛!!きのうのことはほんとうだったんだね!?」 れいむは驚きを隠せなかった。れいむはこうしてはいられないと、まりさの家でゆっくりせずに急いで帰っていった。 知らないゆっくりが持ってきたサツマイモの話は、その日のうちにたちまち村中に広がっていった。 次の日、かなこはまたゆっくり村に現れた。しかし、前回とは違って皆が食べ物を持って集まってきている。 「「「「ゆっくりしていってね!!!!」」」」 かなこは歓迎されたのだ。もっとも、皆はサツマイモが目当てなわけだが。 「みんな!ゆっくりしんじてくれてありがとう!!!」 かなこはうれしそうに飛び跳ねた。それを見た周りのゆっくりたちは、順序良く持ち寄った食べ物をかなこへ 収めに行く。木の実や昆虫、植物などこれまで苦労して蓄えてきたが、その量の2倍でサツマイモが返って 来ると思うと、皆うれしくてたまらなかった。 かなこの持って来た袋の中にみんなの蓄えを入れていってるのだが、村の頭脳、1匹のぱちゅりーがあることに気づく。 「むっきゅ~ん!!みんなまだおうちにごはんおいてきてるでしょ!!よくかんがえてね!!あずければあずけるほど かえってくるんだよ!!!いつもより2ばいゆっくりできるんだよ!!かくさないでぜんぶもってきてね!!!」 ぱちゅりーの説得には皆がうなずいた。さすがの餡子脳もこの理屈はよく理解できるようだ。 出し惜しみをしていたゆっくりはすぐに自分の巣へと取りに帰った。 「こどもたちもてつだってね!!またおいもがたべれるよ!!!」 「おいも!?じゃあゆっくりはこぶよ!」 まりさも家族総出でかなこの元へ食料を運んだ。 かなこが来たのは朝だったが、全員が食料を納め終わる頃にはもう夕方になっていた。 「みんなありがとう!ゆっくりかえるね!!!」 自分の何倍もの大きさに膨れ上がった袋を引きずりながらかなこは山のほうへと向かった。 袋には村の全食料が入っている。 「ゆっくりきをつけてね!!」 「またきてね!!!」 「おいもをよろしくね!!!」 村全員でかなこを送り出し、かなこが見えなくなるのを確認してから皆がそれぞれの巣へ戻っていった。 「あしたはおいものぱーてぃーだよ!」 「おいもはすごくゆっくりできるよ!」 「たのちみー!」 その夜、各家庭で同じような会話が繰り広げられた。みんなわくわくが止まらない。 ゆっくりたちはかつてないゆっくりライフを想像しながら眠りについた。 次の日、朝早くからゆっくりたちは広場に集まっていた。いつものように森へ食料を確保しにいくゆっくりは 1匹もいなかった。皆が妖怪の山のほうに注目し、今か今かと待ちわびている。 頬をすり合わせたり、跳び跳ね回ったり、歌を歌いながらゆっくりたちは時間を潰した。 「ゆ~ん!きょうはおそいね!」 「きょうはゆっくりしてるんだよ!」 「おいもがたくさんだからね!ゆっくりきてるはずだよ!」 昼の一番暖かい時間になってもかなこは現れない。しかし、ゆっくりたちは気長にゆっくりと待ち続けた。 冬の陽気の気持ちよさに昼寝をしだすものもたくさんいた。 夕方、風が吹き気温が下がり始めたときには皆目を覚ましていた。そして違和感に気づく。 「おかあさーん!おなかすいたよぉ!」 「そういえばあさからなにもたべてないよ!」 そう、昨日全ての食料を預けてしまったため正確には昨日の晩から何も食べていない。 おいもに気を取られてまったく気づいていなかった。 「かなこーー!!ゆっくりしすぎだよーーー!!!」 「ゆっくりしないでねーー!!はやくきてねーーー!!!」 「おいもーーーー!!!」 空腹に気づいたゆっくりたちは一斉に山へ向かって叫び始めた。 しかし、帰ってくるのは返事は山彦となった自分達の声だけであった。 「どーじでー!?もうおうぢがえる!!」 「またあしたくるね!!」 日が完全に落ち、ついに諦めたゆっくりたちは自分達の巣へと帰っていった。 まだ希望は捨てていない。明日になればきっとおいもを担いだかなこが現れると。 次の日、またゆっくりたちは広場に集まっていた。ただ、昨日と違うのは少々元気がないところだ。 口数は少なく、極力動かないようにしている。ただ聞こえるのは葉のついていない木が揺れる音だけであった。 昼ごろになるとさすがにいてもたっあてもいられなくなるゆっくりも出だした。 「さすがにおそいよ!ゆっくりしんじられなくなったよ!」 「がまんできないよ!もりにいってくるね!」 空腹に耐えかねたゆっくりたちは次々に森へと向かった。 「れいむはゆっくりしんじるよ!」 「まりさもだよ!」 その一方で空腹はぐっと堪えてかなこの帰りを待つゆっくりもいた。 日が沈みかける頃、森へ行ったゆっくりたちが元気なさそうに体を引きずりながら帰ってきた。 そこから察するに、森には全く食料はなかったのだろう。 「どう゛じでえ゛!どうじでむしさんいないの゛!」 「ゆっぐりさせてよお゛お゛お゛!!!」 ゆっくりたちに不安が広がった。みんなが焦りを感じ、そわそわし始めた。 「ぱちゅりーのせいだよ!ぱちゅりーがごはんをかくすなっていったんだよ!」 「むきゅー!ぱちゅりーわるくないもん!」 ついにゆっくりどうしの喧嘩が始まった。先に手を出したのはれいむのほうだ。ぱちゅりーに渾身の体当たりをする。 「む゛ぎゅゆ゛!!ゆっくりやめてね!」 体の弱いぱちゅりーはすぐにれいむを落ち着かせようとした。しかし、れいむは止まらない。 それを見ていた他のゆっくりたちも集まってきた。 「そうだよ!ぱちゅりーがわるいよ!」 「ぱちゅりーがしんじるからだよ!」 「ゆっくりしね!!」 空腹で体力の余ってないゆっくりも容赦なくぱちゅりーは体当たりを仕掛ける。 「む゛ぎゅん゛!や゛べでえ゛え゛え゛え゛!!!」 弱いぱちゅりーの抵抗などないようなものだ。あっという間に袋叩きにされる。 頬は傷つき、帽子と髪はボロボロ、口からは餡をたくさんこぼしている。 しかしぱちゅりーは最後の力を振り絞りこう言い放った。 「まりざだよ゛!!はじめにじんじたのは!!ぱぁぢゅでぃーわるぐないもん!!」 囲んでいたゆっくりたちの動きがピタッと止まる。そして初めておいもをもらったまりさのほうをギロっと睨んだ。 「ゆゆ!まりさはわるくないよ!みんながかってにしんじたんだよ!!」 まりさは首を横に振り、自分が悪くないことを必死にアピールした。確かにまりさは全く悪くないのだが 他のゆっくりたちの気が治まらない。今度はまりさへ攻撃を始めた。 「ゆ゛ぶぇ!!い゛だい゛よ゛お゛お゛お゛!!」 まりさはぱちゅりーと同じように囲まれ、体当たりを受け続けた。 「どうじでごんなごとずるの゛ぉ゛!?」 死には至らなかったものの、口や頬からは餡子がたくさん漏れ出していた。 「もういいもん!みんなでゆっくりおやまをめざすよ!!」 「そうだよ!!みんなでごはんをとりかえすよ!!」 暴れていたゆっくりたちは憂さ晴らしを済ませると、今度は妖怪の山を目指すと言い始めた。 「ゆっくりかんがえてね!あそこはきけn・・・!」 リーダーれいむが止めに入ろうとしたとき、ついにその時が来てしまった。 「ゆきだよ!ゆっくりつめたいよ!!」 雪が降ってきたのだ。この村では毎年雪が降った日からは外に出ずに巣の中でゆっくりすると決めている。 「たいへんだよ!!みんなおうちへかえってね!!おそとじゃゆっくりできなくなるよ!!!」 ゆっくりできない、と言う言葉に反応したゆっくりたちは蜘蛛の子を散らすように巣のほうへ飛び跳ねていった。 「おかあさんしっかりしていってね!」 「がんばってはこぶよ!!」 怪我を負ったまりさとぱちゅりーも家族に助けられながらゆっくりとそれぞれの巣へともどった。 「おかあさんゆっくりしていってね!!ゆっくりしていってね!!」 巣へと戻ったまりさを子まりさたちが元気付ける。傷ついた頬を必死で舐めまわした。 もうここには食べるものはない。怪我をした親まりさの回復はあまり見込めない。 それでも懸命に子供たちは手当をした。 「みんなありがとう。おかあさんがしんだらおかあさんをたべてね。こどもたちだけでもゆっくりしていってね! きょうはもうおやすみだよ。」 それだけ言い残し、親まりさはゆっくりと目を閉じた。 雪の日から1週間たったが、かなこが現れる気配はなかった。その間根気よく広場を確認しに行ったゆっくりもいたが、 大半は息絶えてしまった。共食いをするものや飾りを食べて空腹を凌ぐものもいたが、結局そう長くも続かなかった。 「もっとゆっ・・・くり・・・したかっ・・・た・・・」 「ゆっくりしんじたけっかがこれだよ・・・」 ゆっくりたちはこのような言葉をのこして最終的に村全員萎びて死んでしまった。 「みんなー!ゆっくりかえってきたよ!!」 「かみさまおそかったね!!」 「さすがにゆっくりしすぎだよ!!」 一方かなこがあれから丸1日をかけて妖怪の山にあるゆっくり村に戻ってきた。もちろん背中には大きな袋。 「みんながしんじたけっかがこれだよ!!!」 かなこが袋を広げて中身を皆に見せた。中には木の実や昆虫などたくさんの食物が入っていた。 「さすがかみさまだね!」 「しあわせ~!」 「ゆっくりできるよ!」 皆思い思いにかなこをほめる。何の苦労もせずに冬の蓄えが増えたのだ。 「これがかみさまの『しんとく』だよ!これからもゆっくりしんじてね!!!」 The End /*-----------------------------------------------------------------------------*/ これ別にお兄さんにやらせてもよくね?って思うかもしれないけどゆっくりしか出てこないのを 書いてみたかった。けどやっぱり難しいというかしっくりこない。初めてかなこ使ったし。 駄作ですが気が向いたら感想でもください。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1332.html
あんまり熱いので川辺で涼しんでいたら、やたら甲高いカエルの声が聞こえてきた。 「ケローっ! ケローっ!」 なんだか泣いているらしい、生えた草を踏みつぶしながらこっちに向かっていく。 よく見ると、その後ろから水色のゆっくりが追いかけていた。 「アタイったらゆっくりね!」 どう見てもゆっくりだね。 どうやらゆっくりカエルはあのゆっくりに追いかけられているらしい。 ゆっくりカエルはぴょんぴょん跳ねて逃げ回るが、水色のゆっくりは上下に動かず、そのまま平行に動いて追いかけてる。どうやって移動してるんだ、こいつ? 「アタイったらゆっくりね!」 「ケローっ!」 突然、水色のゆっくりが一回り大きく膨らむと。 口から冷気を吐いて逃げてたカエルを凍らせてしまった。 ……おぉっ、そんなこと出来るのか。 「やっぱりアタイったらゆっくりね!」 「……あ、あ~う~……」 体が冷凍されてカエルの動きが止まっている。水色のゆっくりはそのままカエルに近づいていって……。 あ、食べた。 「あぁあああぁぁあぁあぁあっ!」 「ガジガジ」 「やめっ……たずっ……」 カエルシャーベットはあっという間に水色のお腹に収まっていった。水色の大きさは大体30センチぐらい、カエルも同じぐらいだったんだが……スゲェ喰うな。 「アタイゆっくりだよっ! ゆっくりしてるよ!」 食べ終わると高らかに周りに宣言し始める水色ゆっくり。周りには誰もいないのに誰に言ってるんだ。 水色の体は宙に浮き、その辺を行ったり来たりしている。 こいつ、飛べるのか。 飛べるゆっくりなんて肉まんかあんまんぐらいかと思ったが、他にもいるんだな。 ……。 暴れ回っている水色を見て思う。 こいつがいたら、部屋も涼しくなるんじゃね? ……。 取りあえず話しかけてみた。 「ゆっくりしていってねっ!」 「ゆっ? アタイゆっくりだよっ!」 ……それが挨拶なのか? 「ああ、見てたよ。見事にゆっくりしていたな」 「そうだよ! アタイったらゆっくりだからねっ!」 おまえの言ってることはよくわからん。 「なるほど。でもやっぱりゆっくりなら、よりゆっくり出来る場所に行きたいものじゃないか?」 「ゆっ? アタイゆっくりしてるよ?」 「ここもゆっくり出来るけど、俺はもっとゆっくり出来る所を知っているんだ。興味ないか?」 俺の言葉に、水色は眉間に皺を寄せて考えている。よくわかってないらしい。 ……ゆっくりは馬鹿だ馬鹿だと思っていたが。 こいつは、輪をかけて馬鹿だな。 あまりに話が通じないので、掴んで持っていくことにした。 「ゆっ! アタイに何するのっ!」 「冷てっ!」 水色に触った瞬間、手に走る冷たさ。手がくっつくかと思った。こいつ氷で出来ているのか? 急に触れて機嫌を損ねたらしい。冷気を出した時のように顔が膨らんでいた。 「おじさんはゆっくりじゃないね! どっか行ってね!」 いつ俺がゆっくりだって言ったんだよっ! ……ちょっと腹立ってきたぞ。 「お前だって、ゆっくりじゃねぇよ」 その言葉は心外だったらしい。凄い形相でこちらを睨みつけてきた。 「アタイはゆっくりだよっ! ゆっくりしているよ!」 「どこがだよ! 全身氷のゆっくりなんて聞いたことねぇよ! あんこ吐けあんこっ!」 「ムッキーっ! ゆっくりったらゆっくりだよ!」 「だったら付いてきて証明してくれよ。お前がゆっくりだって」 「いいよ! ゆっくりしにいくよ!」 売り言葉に買い言葉。 気づいたら、水色が家へ来る流れになっていた。 俺にとっては願ったり叶ったり……なのか? なんだか間違えた気が……。 家に連れてきて3時間もすれば、自分がどれだけ間違えていたかがよくわかった。 畳の上を歩いたら畳が凍りつく、冷気を吐かせて涼しくしようと思ったら「アタイやすうりはしないよっ!」と言われる始末。それじゃ西瓜でも冷やすかと水色の上に置いたら凍りつき、後々「なにするのさっ!」と怒られる始末。 そして何よりも。 「アタイったらゆっくりねっ! アタイったらゆっくりねっ!」 意味もなく騒いでいるのが最高に鬱陶しかった。 こんなに使えないなんて……。 俺は頭を抱える。正直とっとと放り出したいところだが、体が冷たすぎて触れない。それじゃ勝手に帰るのを待とうと思ったら、どうも家が気に入ったらしく、まるで帰る気配がない。 他のゆっくりなら食べれば済む話だが、正直、30センチの氷を食べるなんて考えたくもなかった。 まさか力ずくで相手に出来ないゆっくりがこんなに扱いづらいなんて……どうしたものか。 ……ん? 「アタイったらゆっくりねっ!」 相変わらず叫ぶゆっくりは放っておいて、俺は思考を走らせ始めた。 そういえば……。 立ち上がり、押し入れを漁り始める。ここに確か……お、あった。 俺は鉄のかたまりを持ち上げると、水色の目の前に置いた。 「ゆっ?」 鉄のかたまりを指さして、水色に言う。 「ここに平べったくて乗れそうな所があるだろう」 「アタイゆっくりだよっ!」 ……まぁ理解したってことだろう。 「お前ここに乗れるか? 無理かなぁ、狭いかなぁ?」 「ゆっ! アタイゆっくりだもん! のれるよっ!」 案の定、挑発に乗って移動する水色。普通のゆっくりなら苦戦しそうだが、空を飛べる水色はあっさりと上に乗ってみせた。 「ほらねっ! アタイったらゆっくりでしょっ!」 「はいはい、そうだね」 乗るのはすげぇ速かったけどな。 俺は鉄のかたまりの頭についているレバーを回していく。 ほどなくして、水色が上から押さえつけられた。 「ゆっ!」 さてと。 用意しておいた器を下に置く。 「何するのおじさん、アタイゆっくりだよっ!」 はいはい。 横のレバーを回し、かき氷を作り始めた。 「あ、ああ゛あ゛あ゛ぁあ゛あ゛ぁっ!」 水色が回転し、器に削られた氷が乗せられていく。 「あ゛がががががっ!」 シャリシャリと音が鳴りながら、あっという間にかき氷が出来上がった。 「あっ……あっ……」 おおっ、普通に食えそうだな。えーと……。 出来上がったかき氷を手に俺はふと気づく。 そういえばシロップがなかった……。 俺はかき氷を一端置くと、そのまま外へと出る。 どうせその辺に……お、いたっ! 「みんなゆっくりしてねっ!」 「ゆっ!」 「うん、ゆっくりするよっ!」 そこにいたのは、ちょうど手のひらサイズの子供達3匹を遊ばせようとしていたゆっくりれいむの家族だった。 取り合えず親れいむを蹴り飛ばす。 「ゆ゛ぐっ!?」 変な叫び声を上げて飛んでいく親れいむ。こいつらってよく歪むから、あまり遠くまで飛ばないんだよなぁ。 「お、おかあさんっ!?」 「なにするのおじ──」 有無を言わせず、その場にいた子供れいむをかっさらっていく。 「うわあ゛あ゛ぁあ゛ぁぁっ!」 「なにずるのっ! ゆっぐりざぜでっ!」 「おがあざーんっ!」 子供の声に活性化されたのか、いきなり親れいむが起き上がってくた。元気だなこいつ。 「れいむのあがじゃんがえじでぇえぇぇぇっ!」 シュートッ! 「めぎゃっ!?」 ゴーーーールッ! 綺麗な放物線を描いて、親れいむが飛んでいく。……我ながら綺麗に飛んだな、体歪んでるのにぜんぜん減速してねぇや。 あ、誰かの家に飛び込んだ。 「いやぁあ゛ぁぁあ゛ぁあ゛ぁぁぁあ゛あ゛っ!」 「おがあ゛ざあぁぁあぁあぁぁんっ!」 邪魔者を排除して、俺は家へと戻ってきた。 「あっ! どこ行ってたの! アタイをむしするなんておじさんゆっくり──」 煩いのでレバーを回す。 「あぎゃぎゃぎゃぎゃっ!!」 水色を黙らせて、俺はかき氷を確認する。よかった、まだ溶けてないな。 「おじさん! 早くれいむたちをかえしてね!」 「おじさんとはゆっくりできないよっ!」 「ゆっくりしねっ!」 手に抱えていた子供れいむたちを、そのまま手のひらで丸めていく。 「うぎゃぁあ゛ぁぁあ゛っ!」 「うぷぷぷぴゅっぷぴゅぴゅぴゅぴゅぴゅっ!」 「やめでうぶあおじあぶげまぜうぎゃっ!!」 しっかり混ざったあんこを、そのままかき氷の上に乗せた。 氷宇治あずきの出来上がりと……。 一口食べてみる。 ……うーん。 普通の氷宇治あずきより喰いづらいが、そのまま氷を食べるよりマシか……なにより甘いしなっ! 「ここか」 「ここだよ! ここに入っていったよ!」 「これで嘘やったらタダじゃすまさへんど」 あん? 玄関の方で声がした瞬間、大きな音を立てて扉が開かれた。 「ゆっくりっ!」 なんだ、さっきの親れいむじゃないか。……あれ? 「ちょっと失礼しますよ」 親れいむの後ろには男が付いてきていた。何だ? 「なんか用ですか?」 「いや、さっきこのゆっくりが窓から飛び込んで来てな。ふざけるなと怒鳴ったら、吹き飛ばしたのは兄ちゃんやって言うんで話聞きにきたんや」 ガラ悪っ! つーかこのゆっくり、あれだけけっ飛ばしたのになんで生きてるんだよ……。 「そう言われても、俺今日ここから出てないですし……」 「なにいってるのさ、さっき──」 レバーを回す。 「あぎゃがぎゃがっ! も、もうやめでよ゛っ!」 余計なことを言うからだ。 「それにゆっくりをけっ飛ばすなんて誰だってやるでしょ、俺だっていう証拠がないじゃないですか」 「まぁそうなんやけどな……」 俺の言葉に面倒くさそうに頭を掻く男。どうも泣きつかせて儲けようという考えだったらしいが、引く様子がないので迷っている。 そもそもガラス代も、この親れいむを加工所に連れていけばちょっとは金になるし、大きな騒ぎにしたくないのが本音だろう。 「ゆっ! そんなことないよっ! れいむを蹴ったのはおじさんだよっ!」 ……煩いのがまだいたか。 「だから証拠がないだろう。何かあるのかよ」 「れいむの子供どこにやったのっ! あの子たちがいる筈だよ!」 「この部屋のどこに子ゆっくりがいるんだ?」 周りを見渡す男と親れいむ。もちろん子ゆっくりなんて影も形も見あたらない。あるのはかき氷に乗ったあんこだけだ。 「ゆっ! そ、そんなはずないよ! どこにいるのぉっ!」 呼び掛ければ返事をしてくれると、親れいむが叫び始める。 その間に、男と目があった。 「……」 手に持っていたかき氷を見せる。 「……」 男は頷くと、そのまま親れいむを片手で鷲づかみにした。どうやら伝わったらしい。 「ゆっ!? な、なにするのお兄さん!!」 「どうやら嘘だったみたいだな……」 その言葉に、親れいむは饅頭肌を青くして震えた。 ……どうやって色変えてるんだ、この不思議生物。 「ち、ちがうよ、れいむうそなんて」 「それじゃ約束通り、加工所いこか」 「いや゛ぁぁぁあ゛ぁぁあ゛あ゛ぁぁっ! かごうじょばい゛や゛だぁぁぁあ゛あ゛ぁっ!!」 暴れ回るが、ゆっくりが人の力に逆らえるわけがない。 食い込む親指の感覚に震えながら親れいむは連れて行かれる。 ……。 出て行く瞬間、俺は親れいむが見えるようにかき氷を食べ始めた。 「あ゛あ゛っ!!」 扉が閉められる。 親れいむの暴れている声が聞こえていくが、もう俺には関係ない。 ……やれやれ。 ため息をついてその場に座る。予想してなかった騒ぎに疲れがたまった。 ……。 俺は最後の光景を思い出し、思わず顔がにやけてしまう。 あの絶望で満ちた顔に、俺は溜飲が下がる思いだった。 さて。 業務用かき氷機の方を見る。 「おじさんゆっくりじゃないねっ! 早く外してねっ!」 さっきは喋らなかったので、ちょっとは学習したかと思いきや、時間が経つとまた水色は喚き始めた。 ……やっぱり、馬鹿だから数分で忘れたんだな。 それだけ忘れられたら、人だと幸せに生きられるんだろうが、水色が忘れても鬱陶しいだけだ。 しかし、どうするか。 全部削って食べるのは流石に辛い。 いっそ、削ってそのまま流しに捨てるか。 水色を処分する方法を考えながら、取りあえず腹が減ったので俺は洗い場の方へ向かう。 「ちょっとむししないでよっ! アタイはむしたべるんだからねっ!」 ……。 一瞬、無視なんて知っていたのかと思ったが、やっぱり馬鹿は馬鹿だった。 何かないかと食材を探し始める。 えーと、何か食えるものが……。 ……あ。 「だからむししないでっ! アタイたべちゃうよっ!」 ……うん、面白そうだな。 俺はその場から離れると、今度はかき氷機に近づいていった。 「ゆっ?」 「わかったわかった助けてやるよ」 頭についたレバーをゆるめ、水色を動けるようにする。 途端、水色は俊敏な動きで逃げ出していた。 「ゆっ! ようやくアタイがゆっくりだってわかったみたいね!」 だから、その速さのどこがゆっくりなのかと。 「でもおじさんはゆっくりじゃないねっ! アタイそろそろかえるよっ!」 「ああ、帰るのか?」 「ええ! ゆっくりじゃないおじさんはとっととれいとうはそんされてね!」 破損してどうする。 「残念だな。せっかくエサを用意してたんだが……」 言った瞬間、水色がこっちを見ていた。凄い食いつきだな……。 「エサっ? アタイしたにはうるさいよっ!」 「ああ、ゆっくりには美味しいって絶賛されているものがあってね。それなら満足できると思ったんだ」 ゆっくりに絶賛と聞いて興味が惹かれたらしい、さっきまでとは打って変わって瞳が輝いている。 「いいよっ! ゆっくりたべてあげるねっ!」 「そうかい、それじゃちょっと待ってな」 俺はまた洗い場へ引き返す。 水色に与える食材を手に取り、そのまま引き返してきた。 「それじゃ今から目の前に置くから、ちゃんと凍らせろよ」 「もちろんだよ! アタイに任せておいて!」 顔を張って自信満々に言う。 俺は手を開き、素早く食材を置いた。 水色の顔が膨らみ、瞬間冷凍しようと冷気を吐く。 しかし、食材が凍ることはなかった。 「ゆっ?」 「なんだ、凍らないみたいだな」 食材は水色よりも小さいながら同じゆっくりだ。しかしゆっくりカエルを食べていた水色には特に疑問はないらしい。特に気にせず、どうして凍らなかったのかを考えている。ああ、馬鹿でよかった。 「まぁいいじゃないか。そのまま食べてみたらどうだ?」 「もちろんアタイそのつもりだよっ! おじさんはだまってて!」 はいはい。 言われた通り黙っておくと、水色は躊躇せず大きく口を開けて、そのゆっくりを飲み込んだ。 「もぐもぐ」 「……」 「もぐもぐ……っ!?」 突然、口を開いたまま水色が痙攣し始めた。 「どうした? 美味しくないかっ?」 「ちがうよっ! アタイゆっくりだよっ!」 なんか慣れたな。 「お、おじさんっ!」 「なんだ?」 「あ、熱いよっ! すっごくあつじっ!?」 水色が最後までいい終わらないうちに、食べたゆっくりは水色の頭を通って中からはい出てきた。 「もこーっ!」 それは、ゆっくりもこうだった。 やっぱり、中で燃えると溶けるもんなんだな。 「あ、あああああああああっ!」 水色の痙攣は止まらない。もこうはそのまま水色の頭に乗って燃え続けている。 「もっこもこにしてやるよっ!」 「とける、アタイとけちゃうっ!」 もう頭の上部分は完全に溶けて、俺の家の床を水浸しにしていた。あとで掃除しないとな……。 「おじさんっ! 水っ! 水ちょうだいっ!」 「水ならそこの壺に入ってるぞ」 言い終わった途端、壺に向かって飛んでいく。 しばらくして、水色の大きな声が聞こえてきた。 「なかからっぽだよぉおおぉおおおぉおおぉっ!」 そりゃな。もったいないじゃないか、水が。 俺は両手でしっかり抱え、そのまま壺に向かっていく。 中を覗き込むと、もう半分近く溶けきった水色がそこにいた。 「お……おじさ……アタイ……」 「何だかさっきよりゆっくりしてるなっ!」 「……ち、ちが……」 「そんなお前にプレゼントだ。受け取ってくれっ!」 水色の上へ抱えていたものを落としていく。 抱えていたのは大量のゆっくりもこうだった。 「あ……」 「もこたんいんしたおっ!」 全員が一斉に炎を纏う。 「……あた……」 あっという間に、水色は溶けきって水に変わっていた。放っておけば蒸発し、跡形もなくなくなるだろう。 俺は安心と落胆でため息をついた。 やれやれ、もうちょっと使えると思ったんだがなぁ……。 もこうは一定時間炎を纏う。出せる時間に制限があるものの、物を燃やす時はかなり便利だ。 俺は使えるゆっくりはちゃんと使っていくが、使えないゆっくりほど邪魔なものはない。 いいゆっくりは、使えるゆっくりだけだ。 さて……。 改めて飯を食おうと、洗い場へ近づいていく。 「もこーっ」 そこに残っていたゆっくりもこうが、元気な声を上げていた。 End ゆっくりちるのをゆっくりもこたんで溶かしたかった。 すっきりー。 by 762 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1169.html
「ゆっくりしていってね!」 家に帰ると丸っこい人面饅頭が一個あった。 俺は饅頭が喋るという事実以上にその言い草に呆れた。 「はふぅ…ちみたち、ゆっくりしていってねだって?」 私はゆっくり溜息を付いて間を取りながら言った。 「ゆっくりしていってね!おじさんはゆっくりできるひと?」 すぐさま人面饅頭が喋った。 俺はあきれ果ててまた溜息を付いた。 「むっふぅ~ん、ちみたちそれでほんとにゆっくりしてるつもり…かい?」 私はゆっくりと饅頭に語りかけた。 「ゆ!?れいむはゆっくりしてるよ!あやまってね!」 「ふぉぅ…そんなに急いで喋って…君達のどこがゆっくりしているというんだい…?」 私はこれでも地元一ゆっくりした男を自負している。 だというのにこいつは家に入ってすぐさま「ゆっくりしていってね!」と叫んだのだ。 ゆっくり一を自負する私にはゆっくりを騙りながらそのせわしない動作にあきれ果てたのだ。 「ゆ!?れ、れいむいそいでないよ!ゆっくりしてるよ!」 私は懐からライターとタバコを出すと一本出して軽く口に咥えて 火をつけてぽぅっと燃えるタバコの先を眺めると軽く吸って一服した。 「ふぅ…だからゆっくりはなしてくれといっているんだよ まったく…ちみはせわしない饅頭だね」 「れ゛い゛む゛ばゆっぐり゛ぢでるのおおおおお!!!」 「全く…急に泣き出さないでくれたまえ…」 突然涙を流す饅頭に軽く首を振ってこれは駄目だという意思表示をする。 それから軽く伸びをして欠伸をすると窓の外を眺めた。 「一体…ちみの何がゆっくりしていると言うんだね…?」 「ゆ゛っぅぅうう!!れいむのゆっくりしてるところ みせてあげるからおじさんはちゃんとあやまってね!!!」 「ふぅぅんむ、いいでしょう…ちみがゆっくりしているのがわかったらきちんと謝罪しよう」 私は手を組んで、チェアーをリクライニングに倒すとそこでゆっくり饅頭の様子を眺めた。 饅頭はそこでぷくぅ、と顎を膨らまして目を細めるとじっとし始めた。 あれがあの饅頭のゆっくりなんだろう、ナルホド確かにゆっくりしているかもしれない。 私は読書でもしながら一緒にゆっくりし始めることに決めた。 三時間後。 「い゛づまでごうぢでればいいのおおおお!おなかずいだあああ!!!!」 私がチェアーを窓際に動かして一時間ほどゆっくりと日光浴をし始めたあたりで 突然饅頭がわめきだした。 私はやれやれと左右に首を振った。 「せっかくゆっくりしていたというのに…ゆっくりできない無粋な奴だな…」 「どおぢでええええ!!!どおぢでれ゛い゛む゛がゆっぐりでまげぢゃうのおおおおお!?」 「ちみのそのせわしない半生を見返して…ゆっくりとは何かをもう一度ゆっくり考え直したまえ」 私はそう言うと再び日光浴を再開しゆっくりした。 「ゆぐうううううう!ゆ゛っぐりい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!!」 すると饅頭は数分ばかり頭を悩ませると餡子を吐いて果てた。 なるほど、ゆっくりとは死ぬこととみつけたりか。 最後の最後で中々見所のある饅頭だった。 私はうとうとし始めそのままゆっくりと昼ねをはじめた。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/dmps_fun/pages/1297.html
PREV:新ブランド設立? 中編 NEXT: ストーリー 【プレイヤー】見つけたぜ……気になるファッションの奴を……! ポップガール キャンディ 裸の上にあみあみ付けてそのうえからロングコート…… ポップガール キャンディ あの独創的なセンスは相当なファッション猛者と見た! ポップガール キャンディ あれ、あの人こっちを睨んでねーか? ポップガール キャンディ というか……絶対に……近づいて来てるっ!! ポップガール キャンディ てめえ……オレに何の用だ?ジロジロとオレを見てきやがって 黒城凶死郎 え、いや……用ってわけではないんですけど…… ポップガール キャンディ ごちゃごちゃ言ってんのが全部聞こえてんだよ 黒城凶死郎 オレに文句があるってんなら相手になってやるぜ? 黒城凶死郎 その代わり……てめえのすべてを奪ってやるよ!! 黒城凶死郎 ひいっ!?か、勘弁してください~! ポップガール キャンディ ふぅ……危なかった……何だあの怖いやつは……! ポップガール キャンディ 黒い死神……?あの伝説の!? ポップガール キャンディ マジかよ!じゃあデュエマしておけばよかったー! ポップガール キャンディ 何で教えてくれなかったんだよ~せっかく強いやつを倒せる機会だったのに~ ポップガール キャンディ ビビってたからって……いや、まあそうだけどさあ~ ポップガール キャンディ でも黒い死神って聞いて納得したぜ ポップガール キャンディ あの独特のセンス空気感……! ポップガール キャンディ あれは普通の人には真似できないファッションの境地だ……! ポップガール キャンディ ぼくを抜きにしてファッションの話とは心外だね グレート・バケツマン バケツマン!?ファッションって言うけど、その服装で言われても…… ポップガール キャンディ はぁ……何もわかってないんだねファッションと言えばバケツマンバケツマンと言えばファッション グレート・バケツマン その所以を教えてあげるよ!このバケツへのぼくのただならぬこだわりをね グレート・バケツマン まずはこの艶やかな表面!毎日、丁寧に磨いてこそでる美しさ! グレート・バケツマン ずっとかぶってるのにいつもきれいだもんな ポップガール キャンディ この目と口の穴もすごくこだわったんだから! グレート・バケツマン それにぼくはこのバケツでアイデンティティを グレート・バケツマン こんなにも分かりやすく示しているだろう? グレート・バケツマン これをファッションと言わずして何と言うんだ グレート・バケツマン そのリボンも君のアイデンティティだろ? グレート・バケツマン た、確かにそうだな……バケツマンがそれを脱いだところ見たことないし…… ポップガール キャンディ そうだ、一度見せてもらえない?バケツを脱いだところ ポップガール キャンディ ……え? グレート・バケツマン だってバケツのないバージョンを見ないとわからないじゃん!もしかしたらバケツがあっても ポップガール キャンディ 無くても、印象かわらないかも、だし! それに~何より中の素顔がきになる! ポップガール キャンディ いや~でもそれは……あまり見られたくない立場というか…… グレート・バケツマン お願いだって!一回だけでいいから! ポップガール キャンディ う~ん、じゃあ【プレイヤー】にデュエマで勝ったらね グレート・バケツマン そう来たか!やってやるぜ……! ポップガール キャンディ 【プレイヤー】!デュエマだ!! ポップガール キャンディ 勝利時 くそー!負けちまった! ポップガール キャンディ ってあれ?バケツマンのやつ……逃げたな!? ポップガール キャンディ さては最初から私達をデュエマに集中させて逃げるつもりで……! ポップガール キャンディ バケツマンのバケツの下……気になる……!! ポップガール キャンディ けどそれはまた今度だなよし、他にも面白い服装の人がいないか探しに行くよ! ポップガール キャンディ ありがとな【プレイヤー】!今日は一日付き合ってくれて! ポップガール キャンディ おかげでデュエマシティのファッションのことが少し分かったぜ ポップガール キャンディ みんなそれぞれこだわりがあるんだな! ポップガール キャンディ 改めて、私のブランドを立てて、存在感を高めたくなったぜ! ポップガール キャンディ だけど、みんな個性豊かだしもうちょいじっくり練ってからじゃないとだめだな~ ポップガール キャンディ でも、いつかブランドを立てて守護者になって…… ポップガール キャンディ そして、デュエマシティで私の知らない人はいなくなって……私は有名人…… ポップガール キャンディ うへへへ……! 楽しみになってきたー! 待ってろよー!私のブランド!! ポップガール キャンディ 敗北時 か、勝った……けど…… ポップガール キャンディ 【プレイヤー】?君もぼくの素顔が見たくて手を抜いたんじゃないかい……? グレート・バケツマン ぼくにはお見通しだよそれじゃあバケツは脱げないなあ グレート・バケツマン やっぱりそうか何かおかしいと思ったんだよ ポップガール キャンディ もう一戦だ!今度は本気で来い! ポップガール キャンディ PREV:新ブランド設立? 中編 NEXT:
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/205.html
※最初で最後のゆっくり虐待に挑戦中です。 ※どくそ長いです。(十回超の予定) ※うんうん、まむまむ描写あり。 ※標的は全員ゲスです。 ※虐待レベルはベリーハードを目指します。 ※以上をご了承頂ける方のみどうぞ。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『永遠のゆっくり』5 カートの上に四匹のまりさ共を乗せ、俺はある一室に入った。 この部屋は、通常の人間の居住空間になっており、 家具や調度が一通り揃っていた。 実際に、俺はここで寝泊まりをすることになる。 八畳ほどのこの部屋には、 冷蔵庫や布団をはじめ、必要な生活用品が揃っている。 特殊なのは、壁のうちある一面が全面鏡張りになっていることだった。 そして、部屋の一角には頑丈なケージがあり、 およそ2m余り四方を区切っている。 この部屋に、まりさ種の四匹を放した。 カートの籠から持ち上げ、部屋の真ん中に投げだしてやる。 「ゆぎゅっ!」 顔面から板張りの床に叩きつけられ、呻く親まりさ。 俺を見上げて悪態をつく。 「ゆゆっ!!なにやってるんだぜごみくず!! このまりささまをいたいめにあわせて、ぶじですむとおもってるのかだぜ?!」 無視して、今度はバスケットボール大の子まりさを出す。 こちらはケージの中に放り込む。 「ゆぎゃ!」 「なにしやがるんだぜ!?」 「あやまったってゆるしてやらないんだぜ!どげざするんだぜ!!」 少しの間喚いていたが、 やがて部屋全体を見渡し、様子を見てとると、 親まりさが予想通りの言葉を吐いた。 「ゆゆっ!!ここはまりささまのゆっくりぷれいすにするんだぜ!! おい、ごみくず!!しごとをめぐんでやるんだぜ? はやくあまあまをよういするんだぜ!!」 「はやくするんだぜごみくず!!」 「ここでもどれいにしてかいごろししてやるんだぜ!! まずはかんしゃのどげざをするんだぜ!!」 「あまあま!!あまあま!! もってきたらしーしーをのませてやるんだぜ!!」 相変わらずの罵詈雑言を聞き届けると俺は息をついた。 早速始めることにする。 まず、ケージの中の三匹の子まりさ。 その後に親まりさの順で、おれは手早く帽子を取り上げた。 「ゆっ!!?なんのつもりなんだぜ?!」 「まりささまのおぼうしがああああ!!」 「ごみくずううううう!!かえせええええええ!!」 「ごみくずはじぶんのたちばがわかってないんだぜええ?! しつけなおしてやるからぼうしをかえすんだぜえ!!」 「返してほしければ、俺から奪い返してみろ」 「ゆっ?」 俺の前にいる親まりさが、小馬鹿にした笑みを浮かべた。 「じぶんがなにをいっているのかわかってるんだぜ? まりささまにけんかをうっているんだぜ!? もしかしてまりささまにかてるとおもっちゃったんだぜ? ばかはすくいようがないんだぜ!!ゲラゲラゲラゲラ!!」 子まりさともどもひとしきり嘲笑した後、 真顔に戻ってまりさは侮蔑の視線を送ってきた。 「ぼうしをかえすんだぜ、ごみくず。 こうかいしないうちにかえしたほうがいいんだぜ。 いまならはんごろしでゆるしてやらないこともないのぜ?」 俺は手に握った帽子をぐしゃぐしゃに握り潰し、ズボンの裾に突っ込んだ。 まりさの目が怒りに燃え上がる。 「ごみくず…… くそのやくにもたたないおまえを、 まりささまはきょうまでがまんしてかってきてやったんだぜ? それはまりささまのなさけだったんだぜ。 そのまりささまにたいして、おまえはそんなたいどをとるんだぜ?」 「おとうさん!!そいつをころすんだぜ!!」 「こわれたどれいはようずみなんだぜ!! たっぷりいじめころしてやるんだぜ!!」 「はじめておとうさんのけんかがみられるんだぜ!!わくわくだぜ!!」 子まりさ共が口々に叫ぶ中、親まりさは宣告した。 「もうあやまってもゆるさないんだぜ。 いくらないても、あやまっても、まりささまはゆるさない。 じっくりとなぶりごろしてやるんだぜ。 ごみくずはたっぷりこうかいしながらしぬんだぜ!!」 親まりさが跳び、俺の足に体当たりをしてきた。 直径50cmの饅頭の体当たりは、さすがにそれなりの質量がある。 不意打ちで喰らえば、尻餅をついてしまいそうだ。 しかし正面から向かってくる今、まるでダメージにはならない。 親まりさは何度も何度も体当たりを繰り返してきた。 俺はそれを見下ろしながら黙っていた。 十分ほどそうしていた後、 ぜえぜえと息をつきながら、親まりさはこちらの顔色を伺っていた。 なぜ倒れないのか不思議そうな顔だ。 「痛くない」 俺がそう言うと、愕然として口を半開きにした。 子まりさ共が、おかしいとばかりに口々に叫ぶ。 「おとうさん!おあそびはもうおわりにするんだぜ!!」 「そろそろとどめをさしてやるんだぜ!!」 「ゆ、と、とどめなんだぜ!!」 親まりさは数歩下がってから、 助走をつけて全力で体当たりをしてきた。 俺は少しばかり腰を落として構えただけで、小揺るぎもしなかった。 ぜひ、ぜひ、息をつくまりさの前に屈み込み、その顔を覗き込む。 「な、なんでなんだぜ……?」 その左頬を、右腕で力を込めて殴りつける。 これだけ成長した饅頭なら、 そう慎重に手加減しなくても、そうそう死ぬことはないだろう。 「ぐびゅえっ!!」 あえなく悲鳴を上げる親まりさ。 俺は親まりさの頭を左手で押さえつけ、同じ場所を殴り続けた。 「ゆがびゅっ!!ぼびゅっ!!ばっ!!ゆびぃっ!!ぼぉ!!」 何十発殴っただろうか。 親まりさの顔面の左側は、今や全体が内出血ならぬ内出餡で黒ずんで腫れあがり、 左目は開かなくなっていた。 手を休めて眺めていると、ごほごほと咳き込み、 口から少量の餡子とともになにかをばらばらと吐き出した。 歯だ。 腫れあがってでこぼこになった左頬を、そっと触れる。 「ゆぎぃ!!」 それだけで悲鳴が上がった。 左頬をつまみ、つねり上げてやると、涙を流して呻いた。 「やべで!!やべで!!づねらだいでええええ!!」 「ゆっくりぷれいすにするって言ったな?」 「いだい!!いだい!!いだいいいいいい」 また左頬を殴りつける。 「ゆびいいい!!」 「俺の話を聞くんだ。いいな?」 状況が掴めていない様子で、不思議そうに親まりさの右目が俺を見上げる。 また右手を振り上げてやると、親まりさは泣き喚いた。 「ぎぎばず!!ぎぎばずうう!!なぐらだいでえええええ!!!」 「ここをゆっくりぷれいすにするって言ったな?」 「ばいいい!!いいばじだあああ!!」 「いいだろう。ここは俺の部屋だが、俺から奪ってみろ。 俺を倒せば、この部屋はお前らのものだ。お前らの帽子も奪い返せる」 半ば子まりさの方を向きながら、俺は説明した。 「この部屋に住めば、毎日山ほどのあまあまが運ばれてくる。 沢山の人間達や美ゆっくり達がお前たちの世話をするし、すっきりもし放題だ。 楽しい玩具だってふかふかのクッションだっていくらでも、前の部屋なんかより沢山ある。 お前らはここで存分にゆっくりできるんだ」 その言葉を聞き、それまで呆然と成り行きを見守っていた子まりさ共は、 声を奮って親まりさを叱咤激励した。 「おとうさん、たちあがるんだぜ!!なにしてるんだぜ!?」 「まりさたちはゆっくりしたいんだぜ!!」 「おぼうし!!ゆっくりぷれいす!!はやくするんだぜ!!」 「ゆ……ゆ……」 哀れっぽい視線を、子まりさ達、そして俺に向ける親まりさ。 がたがたと震えている。 「さあ、準備運動はここまでだ。 お互い本気で戦おうじゃないか」 そう言って俺が立ちあがると、親まりさの顔が一瞬歪み、次に命乞いをした。 「も、もうやべで……」 「なに、やめるのか?」 「まりささまは……もうたたかえないんだぜ……」 「やめるって言ってるぞ」 子まりさ共のほうを向いてそう教えてやると、 ケージの中で三匹の子まりさ共は飛び跳ねて激昂した。 「なにいってるんだぜ!! まりさたちがゆっくりできなくなってもいいんだぜえ!?」 「おぼうし!!おぼうし!! おぼうしがないとゆっくりできないいいい!!」 「はやくたたかええええ!!なにふざけてるんだぜえええ!!? おとうさんはつよいっていつもいってたんだぜええええ!!」 「ゆあぁ……ゆあぁ……」 呻く親まりさ。 この饅頭は、以前まではあの家の主に君臨し、 普段から子供に対しても威張り散らしていた。 面倒を見もせずに親れいむ達に任せ、それどころか旨いものを横取りしてもいた。 その親まりさを子まりさ達が慕っていたのは、ひとえに強さへの羨望と尊敬によるものだったのだ。 帽子を奪われ、ゆっくりぷれいすを前にした今、 その親まりさが戦わないとすれば、 子まりさが今まで親まりさの横暴に耐えてきた意味がなくなる。 ここで子まりさ達が親まりさの降参を許すはずがなかった。 親まりさにも、それはよくわかったようだ。 「ごべん……ごべんだざい…… まりさ……だだがえだい……」 「ばやぐじろおおおお!!ぐぞまりざあああああ!!」 叫ぶ子まりさ達に、俺は確認した。 「始めていいんだな?」 「はやくはじめるんだぜ!!さっさとやられるんだぜ!!」 「ゆ、やべぶぎゃぁ!!」 懇願しようとする親まりさの口内を、つま先で蹴り抜く。 これだけの大きさの饅頭はそうそう蹴り飛ばせるものじゃないが、 それでも親まりさは少しばかり浮き、後方に着地して倒れ込んだ。 「ゆばぁ……あがぁ……」 涙を流しながらえずく親まりさの口から、また歯がこぼれる。 前歯が殆どいかれたようだ。 「やべで……やべびぇっ!!」 腫れあがった左側面にローキックを叩きつける。 「びぎぃいい!!びぎぃいいい!!!」 飛び跳ねてもんどりうつ親まりさ。 ここにきて親まりさはようやく立ち上がった。 しかし、こいつが選んだのは闘うことではなく逃げることだった。 「にげるなああああ!!なにしてるううううう!!」 「さっさとたたかえええええ!!」 「まりさたちがゆっくりできなくてもいいのかああああ!!? それでもちちおやなんだぜえええええ!!?」 「ぶひゅう……!ぶひゅう……!!」 部屋の隅に背中を押しつけ、泣きながら荒い息をつく親まりさ。 俺はあえて追わず、子まりさ共に向かってルールを説明した。 「勝負が終わる条件はふたつ。 親まりさが死んだときと、子まりさ達が負けを認めたときだ。 あいつが死ぬか、おまえ達が負けを宣言すれば、勝負は終わりだ」 おかしなルールだが、これはもとから勝負ではない。 「負けた時点で、お前たちは俺の奴隷になる。 そうなったらゆっくりさせない。ずっとゆっくりさせない。 これから先、お前らが死ぬまで、 あまあまももう食べられない。すっきりもできない。 遊ぶ時間なんかないし、眠ることも許さない。 永遠に痛めつけ続けてやる。 ここで負ければ、お前たちは、 ずっと、ずっと、永久に、ゆっくりできない」 まりさ共の顔色がみるみるうちに青ざめていった。 ゆっくりすることが全てに優先し、 ゆっくりするために生きているゆっくりにとって、 それは死刑宣告よりもずっと恐ろしい成り行きだろう。 「だだがえええええ!!だだがえええええええ!!」 「ぐぞまりざあああああああ!!!わがっでるのがああああ!!!」 「ゆびゅうううう!!ゆびゅううううう!!」 涙を流し続ける目を見開き、親まりさは鳴き声を発していた。 闘うしかない。 それはわかっていたが、体がついていかなかった。 がたがた震えつづける体を引き摺り、親まりさは少しずつ前に出てきた。 俺の目の前にやっとのことで辿り着くと、 親まりさは息をついてから、緩慢な動きで体当たりをしてきた。 ぼでんと足に当たった後、親まりさは悶絶した。 「びぃいいい!!いだい!いだいよううう!!」 歯が折れ、腫れあがった顔面では、 体当たりをすると自分が痛い目を見ることになる。 ゆっくりの唯一といっていい攻撃手段が、ここにきて用をなさなくなった。 この一発で、親まりさは早くも音をあげた。 「だべでずうう……だべでずうう……だだがえまぜん…… ばりざをだすげでぐだざい……だずげでぐだざい……」 「負けか?」 「まげまじだあ……ばりざのまげでずうう……」 「お前には聞いてない。お前の子供たちに聞いてる」 親まりさの顔が絶望に歪む。 「負けか?」 「まげじゃないいいいい!!!がづ!!がでええええ!!」 「だだがえええええええ!!!ばがあああああ!!ぐぞまりざあああ」 「がでええええ!!ぼうじがえぜええええええ!!! ゆっぐりでぎないのいやだあああああああ!!」 「じねえええええ!!!がでなぎゃじねえええええ!!! まりざだぢをゆっぐりざぜないぢぢおやはじねえええええ!!!!」 「むりだよおおお……いだいよううううう……」 ぼろぼろぼろと涙を流し、子供たちを見つめる親まりさの頭を、 俺はしたたかに踏みつけた。 「あぎゅううっ!!」 踵で踏みつける。踏みつける。何度も何度も踏みつける。 「あぎゅ!!ぐゆう!!びゅう!!びゅ!!ぎゅぶぃいい!!」 踏みつけるたびに上顎と下顎を叩きあわせる音が響く。 次に右足を頭に押し付け、体重をかけて押しつぶす。 「ゆぎぎぎぎぎぎぎぎぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」 押しつぶしながら、ゆっくりと足を左右にこじってやる。 ぺきぺきと、口の中で歯が折れる感触が伝わってきた。 「ゆうぐううううううううううう!!!」 失禁した。 よく見ると脱糞もしている。押しつぶしたせいもありそうだ。 足をどけて開放し、また横に蹴り飛ばす。 「さあ、頑張って帽子を奪い返そうか」 俺が近づいていくと、親まりさは必死に起き上がり、 ずりずりと這いながら逃げていった。 再び部屋の角にすがりつく親まりさの上に、 俺は覆いかぶさるように立ちはだかった。 「ゆぐ……ゆぐ……ゆぐじでぐだざいぃ………」 「命乞いなら子供に言うんだな」 そう言ってやり、今度は右頬を蹴りつける。 壁に両手をついて体を支えながら、俺は蹴り続けた。 「ばっ!!ゆびぃ!!びぃ!!ぎゅう!!ゆぶじびぇっ!!」 何十発と蹴っていくうちに、右側もぱんぱんに腫れあがった。 もう親まりさの顔面に腫れていないところはなくなった。 黒い風船のようにいびつに膨れ上がり、一回り大きくなったように見える。 両目は開かず、歯もほぼ全部抜け落ちた状態だ。 「あいいいいいぃぃぃぃ……あいいいいいぃぃぃぃ…………」 小休止をして眺める。 親まりさは、今や壊れたおもちゃのように音をたてるだけだ。 「負けか?」 「ば……ばりざは……ぼう……」 「じねえええええ!!じねぇええええええ!!」 子まりさ共の叫びは、もはや「闘え」でも「勝て」でもなかった。 「おで……おでがい………ばりざ……ばりざの…おぢびぢゃん……」 見えない目で、声を頼りに親まりさは子供のところへ這いずっていった。 ひどく遅い歩みを、休憩がてら邪魔せずに見守ってやる。 親まりさにとっても必死だろう、今やすがれるものは子供だけだった。 ケージの格子に頬を押し当て、親まりさは懇願した。 「ゆぶじで……ゆぶじで……」 「もどれええええ!!ぐぞまりざああああ!!」 「だだがえまじぇえん……いだい…いだいんでずううう…… まえもみえだい……がらだがいだぐで……はねられだい……」 「まげるなあああ!!だだがえ!!だだがえええ!! まりざざまはづよいんだろおおおおおお!!?」 「おぢびぢゃん……おぢびぢゃん……」 「負けたら永遠にゆっくりできない。 思いつく限りの方法でいじめ抜いてやる。 それでもいいなら、お父さんを助けてやるんだな」 俺が念を押してやると、 子まりさ共は恐慌をきたし、ケージにしがみつく親まりさに体当たりを始めた。 「いげえええええ!!ぐぞまりざあああああ!!」 「ゆぎゅうぅ!!」 腫れあがった顔には、ケージの格子ごしでも痛みは大きいようだ。 それでも親まりさは離れようとせず、子まりさに懇願を続けた。 「おぢびぢゃん……おぢびぢゃん…ゆぶっ…… ばりざの……びぃ!……がわいいおぢび……ぶっ……ぢゃん…… おどうざんを……おどうざんをだず……げで……… いいごだがら……あびゅう!………………おでがい……おでがい……」 負けを認めたとき、子まりさ共の末路は決まっている。 それがわかっていながら、この親は自分の命を懇願していた。 口では猫なで声を出していても、このまりさは全く子供を愛していない。 餡子脳でもそれぐらいはわかるようで、 子まりさは懇願されるほどに憎悪をむき出しにして罵った。 「ぐぞまりざあああ!!ぎだないがおをみぜるなあああ!!」 「だまれ!!だまれ!!だまれ!!だまれえええええ!! おまえだげはゆっぐりずるなぁあああああああ!!!」 「じねええええ!!おまえがじねええええ!! だだがっでがっでじねええええええええ!!!」 体当たりでは飽き足らず、 格子の隙間からはみ出る親まりさの皮膚に噛みつき始めた。 「あいいいぃ!!」 弾かれるようにケージから離れる親まりさ。 「話し合いは終わりだな」 「ゆぶ!ま!まっで!!まっでぐだざい!! ごどもだちはごんらんじでるだげなんでず!! いま!いまばなじあいをぉ……ゆぎいいぃ!!」 親まりさのお下げを引っ掴み、引きよせる。 泣き喚き謝り懇願する親まりさを、俺は殴り続けた。 皮が裂かれて中の餡子が出ないように打ち方には留意し、 ひたすら打撲傷のみを与え続ける。 こめかみを殴りつけた。 体中を張り手で叩き続けた。 口をこじ開けて下顎を踏みつけた。 逆さにして頭を床に叩きつけ、底面を何度も踏みつけた。 持ち上げて、顔面と言わず顔と言わず背中と言わず壁に叩きつけた。 全身が赤黒いいびつな饅頭と化し、親まりさは床に転がっていた。 もはや、髪がなければどこが顔なのかよくわからない。 それでも、荒い息と断続的なうめき声、 そして流れ続ける涙が、意識を保っていることを示していた。 もともと、ゆっくりは人間と違い、気絶も発狂もしない。 人間なら苦痛から精神を守るためにそういう現象が起こることもあるが、 ゆっくりの精神にそんな高度な活動は不可能だった。 「あび……………ゆび……………」 呻く親まりさ。 ここまでしても、俺の心は全く晴れなかった。 それどころか、こいつらに対する憎悪と、そして虚しさがつのるばかりだ。 こんな脆弱で醜い生き物が、俺の家族を殺し、俺の人生を壊した。そしてそうさせたのは俺だ。 「お前らの負けだ」 俺は宣告した。 「ゆゆっ!?」 「なにをいってるんだぜごみくず!!くずまりさはまだいきてるのぜ!!」 「あれ、いきてるのぜ?」 「いきてるんだぜ!!まだうめいてるんだぜ!!」 「もういい。負けだ。俺が決めた」 文句を言う子まりさ共に、俺は繰り返した。 「やくそくをまもるんだぜ!!ごみくず!!」 「おぼうしかえせええええええ!!」 「今度はお前らの番だ」 俺の言葉に、子まりさ共がびくりと身を震わせる。 親まりさの戦いを見て、自分たちでは勝てないことぐらいはわかるようだ。 俺は子まりさ全員をケージから出して言った。 「三匹一緒にかかってこい」 「ゆ!?」 「さんにんならかてるのぜ!!」 「ごみくずはつくづくばかなんだぜ!! ひとりにかったからってちょうしにのってるんだぜ!? さんにんならまけるわけがないんだぜ!! なぶりごろしにしてやるんだぜえええ!!」 詳細は省く。 今、俺の前には、ぐずぐずの風船になって転がる親まりさと、 全身の半分を赤黒く腫れあがらせた子まりさ三匹が転がっている。 やや面倒になったので、子まりさのほうは親ほどには傷めつけていない。 それでも全員、言葉にならない呻きを漏らして涙を流している。 「今日からお前たちは俺の奴隷だ。いいな?」 俺は言い渡した。 答えがなかったので、一匹ずつ蹴りつける。 「あじゅ!!」 「ゆびゃっ!!」 「だいぃいいい!!」 「ゆがぁあ!!」 「返事をしろ。いいな?」 「「「「いいいいいいでずううううう!!」」」」 「立て」 のろのろと立ち上がる子まりさ達。 親まりさは全身の痛みに苦悶しながら、だいぶ遅れてどうにか立ち上がった。 「背中を向けろ」 子まりさ達がすぐに背中を向ける。 親まりさはずるずると床の上で回転したが、あらぬ方向を向いて止まった。 両瞼が腫れあがり、目がふさがっているので自分の向きがわからないようだ。 「あいぃいいい!!」 髪を掴んで持ち上げ、強引に背中を向けさせる。 俺は太い注射器を取り出すと、 背中を向けて並んだまりさの一匹を選び、 背中に注射器を突き立てた。 「ぐいいいいい!!いだいごどじだいでええええええ!!!」 悲鳴をあげる子まりさの内部に、注射器内の液体を注ぎ込む。 オレンジジュースだ。 どれだけ消耗していても、これを与えればゆっくりは回復する。 三匹の子まりさ、そして親まりさに、同じように処置を施す。 親まりさには表面のキズがいくつかあったので、 小麦粉の溶液をちょいちょいと塗り込む。 放っといてもいいが、なにかのはずみで傷から餡子が漏れないとも限らない。 これで、しばらくおけば普通に動き回れるようにはなるはずだ。 その前に、最初の子まりさに命じる。 「こっちに来い」 怯えながら、子まりさはこちらに這いずってきた。 その頭を押さえつけ、したたかに殴りつける。 「ぎびゃああっ!!」 「お前、さっき俺に「痛いことしないで」と命令したな」 「べいれいじゃありばぜええんん!!おでがいでずうううう!!」 「同じだ。いいか、饅頭共、お前らは俺の奴隷だ 奴隷に、俺に対して要求する権利はない。わかったな?」 言いながら、俺は同じ箇所を何度も何度も殴りつける。 「あぎいいいいわがりばじだあああああ!!!」 さんざん殴り、子まりさの右頬はぱんぱんに腫れあがった。 再び、背中からオレンジジュースを流し込む。 二度手間だが、上下関係ははっきりさせておく必要がある。 他のまりさ共も、がくがくと震えながらこちらを見ていた。 しばらく待った後、俺は頃合いを見て壁のスイッチを押した。 とたんに、鏡張りになっていた一面の壁が、隣の部屋の光景を移した。 この壁はマジックミラーで、鏡の状態と透明な状態を、 ボタン操作で切り替えることができるようになっていた。 今は向こうからも見えるようになっている。 部屋の向こう側は、本当のゆっくりプレイスだった。 部屋の間取りはこちら側と同じく八畳程度だったが、 壁には草花や青空や動物たちがデフォルメした可愛らしい画調で描かれ、 ふかふかのクッションやソファがあちこちに山ほど積まれている。 ブランコや滑り台や砂場、遊び場や玩具もふんだんにあった。 部屋の隅には餌場があり、いつでも砂糖水が飲め、 定期的にお菓子が補充されるようになっている。 そこには大小さまざま、およそ十数匹のゆっくり共がくつろいでいた。 ソファに寝転び、滑り台で遊び、家族で歌を歌う。 この部屋には常時二人ほどの人間が世話係を勤めており、 好き勝手に垂れ流される排泄物をはしから処理したり、 求められれば遊び相手になったりしていた。 「ゆぅうううううう…………!!」 おおむね体力を回復させたまりさ共は、 眼前に広がるゆっくりプレイスに目を輝かせた。 「ゆぅうううう!!すごいのぜ!!とっっっってもゆっくりできるのぜ!!」 「あれはまりささまのゆっくりぷれいすにするんだぜ!! あいつらはおいだしてやるんだぜ!!」 自分たちの状況を完全に忘れて騒ぎ立て、壁に体当たりする子まりさ共。 壁が破れないとみるや、俺の方を向く。 「おい、ごみくず!まりささまをあっ……」 俺の顔を見たとたんに、状況を思い出したようだ。 子まりさは失言に気づき、口を閉ざして震えだした。 親まりさは失言こそしなかったものの、期待に目を輝かせていた。 その目が、すがるように俺を見上げている。 「俺は言ったはずだ。ずっとゆっくりさせないと」 そう言ってやりながら、俺は失言した子まりさを踏みつける。 「びゅぇええっ!!」 何度も踏みつけてやりながら、俺は説明する。 「あのゆっくり共はお前らとは関係ない。 あいつらはあそこでゆっくりするが、お前らはここでずっと苦しんでもらう。 わかったな」 「ゆひぃぃいいい………」 慈悲を求めるように目を潤ませるまりさ共。 「わかったな!」 「わがりばじだあああ!!」 踏みつけていた子まりさを蹴り飛ばし、親まりさに叩きつけると、 ようやく返事が返ってきた。 ゆっくりプレイス側のゆっくりが、不安げにこちらを見つめていたが、 隣にいる世話係の人間が説明してやると安心したようだ。 どこか侮蔑を顔に浮かべ、にやつきながら眺め始めた。 踏みつけた子まりさにオレンジジュースを軽く注入してから、 親まりさ共に言ってやる。 「さて、その前に、飯の時間にしようか」 「ゆゆっ!?」 まりさ共の目が輝く。 オレンジジュースを注射器で注入されてはいても、 口からではないので味は楽しめないし、満腹感もない。 人間でも、栄養剤をいくら注入されても腹は膨れないのと同じことだ。 すでに丸一日、こいつらには何も食わせていない。 さんざん甘やかされてきたこいつらにとって、空腹は耐えがたいだろう。 口には出さずとも、軽く飛び跳ねて催促するまりさ共。 通信機で連絡をつけると、ほどなくして食事は運ばれてきた。 食事が、隣のゆっくりプレイスに運ばれる。 そこに運ばれてきたのは、信じられぬようなごちそうだった。 大皿に盛られたケーキ、プリン、フルーツ。 数多のトッピングがちりばめられたあまあまだ。 かつてこのゲス共が食べていたものとは比べものにならない高級品である。 「ゆっ!!ゆっくりできるごはんだよ!!」 「あまあま~、あまあま~!!」 「あわてなくてもたくさんあるからね!!なかよくゆっくりたべようね!!」 隣のゆっくり共の声が聞こえてくる。 マジックミラーで遮ってはいても、 スピーカーによって、こちらによく声が通るようにしてある。 「あまあま……あまあまたべたいぃ……」 「おなかすいたぁぁ……」 涎を垂れ流しながら、マジックミラーにへばりつくまりさ共。 向こうのゆっくり共は一心不乱に食べている。 「うっめ!めっちゃうっめまじうっめ!うっめ!ぱねぇ!!」 「むーちゃ、むーちゃ……しあわせえぇぇぇ!!」 「ちちちちちちあわちぇええええ!!」 「すっっごくゆっくりしてるよぉぉ……」 「ゆっくりしたいよぉぉぉ………」 「おにいさん……まりさにも、まりさにもあまあま……」 「お前らの飯はない」 俺の言葉に愕然とするまりさ共。 「ゆゆっ!ご、ごはんのじかんだよ?」 「向こうのゆっくり共のことだ。お前らに関係ない」 「おねがいします!ごはん!ごはんくださいぃぃぃ!!」 要求してきた子まりさの顔面を爪先で蹴る。 「びぃゆううう!!」 「さっき言ったはずだ。 お前らは俺に負け、奴隷になった。 もう飯はやらない。ましてあまあまは一生食べられない」 「ぞんな………ぞんな………」 「ゆっぐり、でぎだい………」 「何度でも言う。お前らはもう一生ゆっくりできない」 絶望と悲しみに大口を開けて震えるまりさ共。 子まりさが一匹失禁した。 「ちちちちあわちぇー♪」 「む~ちゃ!む~ちゃ!ゆっきゅりできりゅよぉぉぉ!」 ゆっくりプレイスの赤ゆっくりの歌が響く中、 まりさ共は絶望の淵にいた。 しかし、まだまだこいつらには余裕がある。 今後しっかりと、さらなる絶望を堪能してもらわなければならない。 とりあえず、少しずつ段階を踏んでいく。 この部屋にまりさ共と共に寝泊まりしながら、 最初のうちは手を下さず、餌を与えずに放置した。 ゆっくりという生物(と呼ぶべきなのかどうか)は、 非常に脆い反面、おそろしく頑丈な面もある。 どれだけ傷をつけられようと、 体内の中心部にある中枢餡が破壊されるか、 もしくは中の餡子があらかた漏れ出さないかぎり死なない。 餓死や病死という死因もあるが、 適当に室内で世話していれば、よほどのことがないかぎり病気にはならない。 餌は、一月ほど与えなくても大丈夫らしいが、 食欲はおそろしく旺盛なので、 一日抜いただけでも天地がひっくり返ったように暴れる。 まずは食からだ。 三日目にして、すでにまりさ達はこの世の終わりのような表情で、 だらしなく床に寝そべっていた。 初め、三匹の子まりさは親まりさを罵っていた。 「おまえのせいだ!!おまえがまけたせいでゆっくりできないんだ!!」 「さんざんいばってたくせにぜんぜんよわかったんだぜ!! くそまりさのうそつき!!ぺてん!!さぎ!!」 「やかましいんだぜええ!! おまえらだってまけたんだぜ!!ごみくず!!」 傷があらかた回復した親まりさは、子まりさに叫び散らしていた。 もはや威厳も何もないが、力だけはあり、 子まりさ共に襲いかかられても勝てる。 もはや暴力だけで、親まりさは子まりさ共を恫喝していた。 何度となく掴み合いの喧嘩、というか殺し合いを始めたが、 その度に俺が蹴りをくれたので、ほどなく罵り合うだけに留まった。 そして今、疲れきって体力もなく、 四匹とも力なく床に横たわるだけである。 一日中、獣じみた呻きを発するか、ぶつぶつと文句を言うばかりで、 暴れたり罵ったりする気力はないようだ。 最初の頃は俺に食事を懇願していたが、 その都度顔中が腫れあがるほど殴られたため、 いまではびくびくして俺に近づかないようにしている。 それでも、一日に五度の隣の食事が始まると、 全員でマジックミラーにへばりついた。 幸福にのたうちながら舌鼓をうつゆっくり共の姿を、 涙と涎を垂れ流しながら恨めしそうに眺めていた。 このゲスまりさ共は、かつて俺の部屋でずっと主として君臨していた。 他のゆっくり共を目下に従え、ふんぞり返って威張っていた。 そのプライドが、これまでまりさ共の口を閉じていたが、 ついに親まりさの心が折れた。 「おねがいです!まりさたちにもわけてください!!」 プライドをかなぐり捨て、向こうのゆっくり共に物乞いを始めたのだった。 それを皮切りに、子まりさ共も喚き始める。 「おねがいしますうう!!」 「おなかがすいてしにそうなんですううう!!」 「すこしだけでいいですから!!あまあまくださいいいい!!」 隣のゆっくり共がこちらを振り向いた。 その後、ゆっくり同士でひそひそと何事か囁いていたが、 やがてこちらを向いて言った。 「ひとごろしまりさにあげるあまあまはないよ!!」 「ゆっくりくるしんでね!!」 「そんなあああああ!!おねがいしますうううう!!」 「ば~きゃ!ば~きゃ!」 「よだれでべちょべちょ!みっともないね!!」 「おちびちゃんたちはあんなふうにならないよね!!」 「うん!あんなばかにはぜったいならないよ!!」 その時は、食事が残らず食べ尽くされるのをじっと見守るしかなかった。 その日、次の食事がやってきた時も、まりさ共は懇願した。 懇願するまりさ共を、始めのうちは罵っていた隣のゆっくり共だったが、 やがて、それまで部屋の中心で食べていた食事を、 まりさ共の鼻先にまで押しやってきた。 「あああああありがどうございまずううううう!!!」 「あまあま!!あまあまありがどうございまずううううう!!!」 分けてもらえると思い、嬉し涙を流して叫ぶまりさ共。 しかしそこまでだった。 まりさ共の目の前に積み上げられた食事を、ゆっくり共が食べ始めた。 マジックミラーに遮られて手を出すこともできず、 すぐ目の前で、まりさ共は食事を見せつけられることになった。 「む~ちゃ♪む~ちゃ♪しあわせぇ~♪」 「このくっきーあまあまだよぅ~♪ゆっくりぃぃぃぃ~~」 「たべないの?とぉ~~~ってもゆっくりできるよぉ~? む~ちゃむ~ちゃ……しししししあわせぇぇ~~~~!!」 まりさ達の方を向きながら、ことさら美味そうに食べてみせるゆっくり共。 涙を流し、まりさ共はぎりぎりと歯噛みしていた。 ゆっくりという生物は、弱い者を苛めるのが大好きである。 どんなに性格がよさそうに見えるゆっくりでも、 自分より弱い者や無抵抗の者を見ると、たちまち嗜虐心を燃え上がらせる。 その陰湿さは、俺自身が体験してきてよく知っている。 「ゆぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎいいいいいいい!!!」 怒りと悔しさと空腹に歯ぎしりするまりさ共。 「ゆぎぎぎぎ~~~♪」 「おなきゃすいちゃ~♪あみゃあみゃくだしゃ~い♪」 マジックミラーごしに、赤ゆっくり共がまりさ共の顔真似をしてみせ、 大人ゆっくり共がそれを見て笑う。 親たちが喜ぶのを見て、赤ゆっくり共はあの手この手でまりさ共をからかう。 地獄だった。 その地獄が、食事のたびに繰り広げられた。 続く 選択肢 投票 しあわせー! (1) それなりー (0) つぎにきたいするよ! (0) 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/5180.html
「うー! うー!」 一匹の胴無しれみりゃが里の近くを飛び回っている。 「うー……?」 と、その動きがぴたりと止まった。 動けない。 空中に固定されたまま、自分の体(羽)が動かせない。 「よし、一匹ゲット。 今週の消費分はこれで足りるな」 という声と同時、れみりゃはわけもわからぬまま麻袋に詰め込まれた。 やあ、こんにちは。 私はゆっくりれみりゃ愛好家お兄さんだよ。 私の普段の生活は ゆっくりゃ拷問室・前編 http //www8.atwiki.jp/yiukkuri_izime/pages/1257.html ゆっくりゃ拷問室・後編 http //www8.atwiki.jp/yiukkuri_izime/pages/1256.html を参照してほしい。 かいつまんでいうと、私はゆっくりゃ愛好家と虐待を兼ねているちょっと変わった人だ。 自宅の隣に、数十匹のれみりゃを飼う為の収容所(拷問室含む)を持っている。 一日数匹は殺してしまうので、こうしてよく森に出かけて、れみりゃを捕獲している。 最近はれみりゃが大量発生したとかなんとかで捕まえやすくなって嬉しい限りだ。 うーうーと袋の中で鳴いているれみりゃ。 きっと(出してよー! こわいよー!)とか訴えているのだろう。 ああ、本当に可愛いなあ。 「よしよし、いいこにしてたら『こーまかん』に連れて行ってあげるからね」 と言うと、 「う、うー? ……うー♪」 急に嬉しそうな声を上げるれみりゃ。 胴無しでも『こーまかん』は本能的に魅力的な何かだとわかっているのだろう。 さて、そんなこんなで自宅に着いた。 しかし目指すは、隣にあるれみりゃ収容所だ。 ドアを開けるなり、 「うー!」「うっうー!」 「うー♪」 「うあうあ♪」 「おにいさんだどお〜!」「まぁんま〜」 などなど、れみりゃ種の嬌声が迎えてくれる。 収容所と言っても、囚人のような過酷な環境では無い。 大量の透明ボックスに、餌や水や巣作り用の藁といった快適な環境を整えた、 いわば『大量飼育所』だ。 だかられみりゃ達は私に警戒心など持っていない。 いや、初めは多少持っていたが、躾と快適な生活環境で、徐々に懐かせていき、現状に至るというわけだ。 さっそく袋の中かられみりゃを出してやり、両手で捕まえたまま、先住のれみりゃ達と対面させてやる。 「うーっ♪ うーっ♪」 幸せそうに暮らしている沢山の同族達を目にして、興奮するれみりゃ。 頬を染めてパタパタと羽を動かしている。 「ほら、これが今日から君のこーまかんだよ」 手を放してやると、嬉しそうに小屋の中を飛び回る。 もちろん逃げられないように出口のドアは閉めてあるが。 しばらく飛び回っている内に、一つのボックスの前で、れみりゃは飛び回るのを止めて滞空した。 「なるほど、そこがいいんだね」 見ると、そのボックスには既に胴無しれみりゃが一匹入っており、巣作りも終わっている物だった。 「じゃあここに入っていてね」 手でれみりゃを優しく捕まえて、ボックスの中に入れてやる。 そして速やかに施錠。 ボックスの中では、満面の笑みで二匹が頬を摺り寄せて 「「うー♪」」 と鳴き合っている。 これであの二匹はつがいとなるかもしれない。 そうなればさぞかし可愛い赤ちゃんれみりゃが生まれる筈だ。 そんな予想をし、ボックスを一通り見て回る。 すると、先ほどとは違うボックスのいくつかで、胴の有る無しを問わず、赤ちゃんが誕生していた。 「となると、餌は多めにするかな」 収容所の隅にある大型コンテナから、れみりゃ達とは別に、大量に捕獲しておいたれいむやまりさ種を確認する。 羽の無いこいつらは捕獲も容易だし、何よりどこにでもいる。 逃げられないように全て足(底面)は焼いてあるし、適度に叩いて弱らせてあるので、万が一にもれみりゃ達が逆襲に遭う事は無い。 てきぱきとコンテナから取り出し、それぞれのれみりゃボックスへ分配していく。 「うー! あまあまー!」 「おぜうさまのでぃなーだど〜」 「まんまぁ〜れみりゃにもちょ〜らい〜」 「うー♪」 「や……やめてね……」 「ゆぁぁぁぁぁ……」 「いだいょぉ……もっと…ゆっく……」 そこら中で通常ゆっくり種の断末魔と、れみりゃ達の食事の声が聞こえてくる。 にこにこと笑顔で食事を摂るれみりゃ達は本当に可愛い。 ついでに出産祝いもあげようか。 一旦自宅に帰り、冷蔵庫からプリンを持ってくる。 それを、子供ができたれみりゃ達のボックスに入れてやる。 「うーっ!? うぅ〜♪」 「ぷっでぃんだどぉ!! おにいさんしゅきだどぉ〜!」 「うまうま〜♪」 通常のゆっくり達を食した後で、デザートのプリンに大喜びのれみりゃ達。 さて、今日は疲れた。 れみりゃじゃないが、私も自宅で夕食を摂って、ゆっくりしよう。 翌朝。 汚れてもいい服を着て、収容所に出向き、ボックスを見て回る。 まだれみりゃ達は眠っていた。 本来夜行性の種族だから、まあ当然だろう。 「ふーむ……」 さて、どれを使おうか。 昨日捕まえたばかりのれみりゃは、もう一匹と仲良く眠っている。 まだ子供は出来ていないようだ。 「よし、決めた」 今日は胴有り親子の二匹と、つがいの胴無し親子三匹でいこう。 ついでにうーパックも一匹 眠り続ける七匹を速やかに、隣の『拷問室』へ運んでいく。 御用達の拘束具や拷問具、椅子や机の揃えられたあの場所へ。 「朝だぞー!! 起きろー!!」 怒号に近い叫びと共に、惰眠を貪っていたれみりゃ達が目を覚ます。 「う、うぅ〜?」 「まぁま……ねむいぃ」 「おぜうさまにふさわしくないめざめだど……」 「うー…」 むにゃむにゃと目を覚ましたれみりゃ達は、ここがいつもの快適な住居でないと気づく。 硬い床、薄暗い電球、何か禍々しい気配。 そして、いつも以上にニコニコしているお兄さん。 「これから君たちはここで、たっぷり痛くて辛い思いをして死ぬんだよ! ゆっくり理解してね!」 「……う?」 「……なん…で……だど?」 理解が追いつかない。自分達は心地よい環境で、子宝にも恵まれ、幸せに暮らしていたのに。 ここで、死ぬ? 「理由は無いよ! 君たちは可愛い、だから可愛がってきた! でも殺すよ! 愛でるのもいじめるのも好きなんだ、お兄さんは」 おうち宣言ならぬ虐待宣言をして、れみりゃ達を見回す。 抗議の声は無い。 むしろ、幸福から絶望に突き落とされたショックで呆然としているのだろう。 「さっそく始めますか」 唖然としているうーパックを引っつかむと、机に置く。 「さてさて。取り出したるはロウソクとマッチとカッター」 羽にゆっくりと切れ込みを入れていく。 「うぁ! うー!」 と思いきや、ザックザクに激しく切る。 「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 白目を剥いて絶叫するうーパックだが、手足も無い四角い体形では、どうやっても逃れる術は無い。 切っても血も肉汁も餡子も出ない、この物体がなぜ生きているのかは不明。 両方の羽を切り落とし、次いで釘とハンマーを素敵な道具箱から取り出す。 ローソクを横にした状態で、うーパックの中に外から打ち込んだ釘で固定する. 「うぅっ!」 着火。 これで、融けた熱い蝋が長時間を掛けてうーパックを苛むという寸法だ。 ついでに、カッターで何度か刺してやる。 「うぁっ! うーっ! ううーっ!!」 よし、次。 どちらにするかな。 羽を縛って飛べなくした胴無し三匹と…… 「次はお前だ、そこの胴有り」 「うっ!」 ドアを開けて脱出しようとしていた胴有りれみりゃを呼び止める。 『しようとしていた』とは言っても無駄な行為だ。 拷問室のドアは鉄製でロックが掛かっている。 れみりゃの力でどうこうできる物では無い。 つかつかと歩み寄る私に、怯えた様子でれみりゃは、 「や、やめてほしいんだど〜。 いつものおにいさんにもど ぐぼっ!?」 懇願は腹に入れた蹴りで黙らせた。 肉汁を吐いて腹を押さえてうずくまるれみりゃに、 「今度はお前たちだ。 これからお前を拷問する。 赤ちゃんを除いてな。 耐え切れないか死ぬかしたら、今度は赤ちゃんの番だ」 それを聞くなり、 「やめてくだざいい……れみりゃもあかちゃんもみのがしてくだざい」 「甘ったれるな!」 ビンタを喰らわせると、少々勢いが強かったのか、床を転がっていくれみりゃ。 「うぁーーーー!!」 まだまだこれからなのに、こんな程度で叫んでいては先が思いやられるぞ。 と、その時、足首の辺りを何か柔らかい物がぽんぽんと当たるのを感じた。 見てみると赤ちゃんれみりゃ(胴有り)が、 まだ立てないのか、床に這いつくばった姿勢のままで、私の足首を叩いている。 「う〜まんまぁをいじめりゅな〜」 大した度胸だ。そして可愛い。 ちょっと遊んでやろう。 「いないいない……ばー!」 「!」 興味を示したようだ。目を輝かせている。 もう一回。 「いないいない……」 「いにゃいいにゃい……」 すかさず、 「バシーン!」 かなり強めのデコピン。 「う……うぁ…うぁぁぁぁぁぁぁ!」 泣き出した。 ざまあ。 泣き続ける赤れみりゃは置いといて、親れみりゃの拷問に取り掛かる。 ノコギリを道具箱から持ってきて、まだ倒れたままのれみりゃへ歩いていく。 「うー……いたかったどぉ……」 などと言っているが、痛いのはこれからだ。 れみりゃの襟を掴んで、机に運ぶ。 そして叩きつける。 「うぎゃ!」 仰向けの状態のれみりゃ、私は片手でれみりゃの首を掴み、 れみりゃの右手にノコギリを当てて、ゆっくりと引いていく。 「うあああ! いだいぃ! いだいぃいぃ!」 一気には切り落とさない。 ゆっくりはゆっくりらしく『ゆっくり』いたぶらなければ。 悲鳴を挙げ続けるれみりゃの様子に、私は多幸感を感じながら、尚もスローペースでノコギリを引く。 骨も無いれみりゃの体だ、時間を掛けたつもりでも、三分程度で右手を切り落とした。 「う……うああああ……」 口から泡と肉汁を零して痙攣するれみりゃ。 「これで右手だ。 今度は肘から切る」 またもスローに、切り落とすというよりかは削るようにノコギリを引く。 「いだいぃぃぃ! やめでくだざいぃぃぃ!!」 絶叫するれみりゃをよそに、肘を少しずつ切っていく。 ノコギリを引きながら問う。 「ギブアップか? そうすると次は赤ちゃんの番だぞ?」 と、言うと、れみりゃは歯を食いしばって懇願を止めた。 相変わらず口から肉汁を垂れ流しているし、顔も真っ赤だが。 背後を見ると、赤れみりゃも、縛られた胴無しれみりゃ達もガクガクと震えている。 怯える姿も可愛いなあ。 そうこうしている内に、右肘も切断した。 その調子で、四肢を三回に分けて、羽も時間を掛けて切断していく。 途中で何度も気絶と覚醒を繰り返したれみりゃは、今やダルマ状態となっていた。 しかし、その間れみりゃはギブアップの言葉を口にしなかった。 強烈な子への愛に、思わず涙が滲んでくる。 「よく頑張ったな、れみりゃ」 「あ……あがじゃんを……だずけてくだざい……」 息も絶え絶えで言うが、しかし、 「まだ終わっていないんだ、頑張れ」 現実は非情である。 次に取りだしたのは、油の染みた布を巻いた木の棒だ。 マッチで火を付け、切断した四肢の断面を焼いていく。 「うああああああああああああ!!! あがっ! ぐぎぃぃぃぃぃ!」 肉まんである種族だけあって、香ばしい香りが立ち込める。 もちろん私自身が煙で苦しんでは意味が無いので、換気口も備えてある。 「痛いな、苦しいな、ごめんよれみりゃ。それもこれも、お前達が可愛いからなんだ」 白目を剥いてぜえぜえを息をするれみりゃ。 「……よし、れみりゃ、次で最後だ」 再びれみりゃの首を掴み、赤れみりゃの前へ投げ捨てる。 「うぶぎゃっ!」 床に顔面から着地したれみりゃを見ながら、最後の試練を告げる。 「赤ちゃんとお前で食い合え。 勝った方を元の生活に返してやる」 「ぞ……ぞんなごどできないどぉ……」 「まんまぁ……」 四肢を切断され瀕死の親れみりゃと、立つ事もできない赤れみりゃ。 これなら条件は互角だろう。 「やらないなら両方とも殺す。 早くしろ」 数十秒ほど黙り込んだ親子の内、親れみりゃは決断する。 「あがぢゃん……まぁまをたべるんだど……」 それを告げられた赤れみりゃは、泣きながら親れみりゃに噛り付いた。 「まぁまぁ……ごめんなちゃい……ごめんなちゃい……」 小さな体で、少しづつ親れみりゃを食べていく。 私はその光景を微笑ましく思いながら見つめていた。 が、 「けぷっ、まぁま、れみりゃ、もうたべりゃれにゃいよぉ」 何という事だ。 親れみりゃの肩から上を残して『満腹宣言』をしてしまったのだ。 これはルール違反だ。 というわけで、赤れみりゃの腹部に軽く蹴りを入れる。 「こぴゃっ!! おぼぇぇぇ!!」 これで喰った分を吐かせる事に成功した。 「さあ、赤ちゃん、またママを食べるんだ」 と促すが、赤れみりゃは泣きながら、 「やぁなの〜! れみりゃのまぁまがしんじゃうの〜!」 赤ん坊特有の愚図りが始まった。 こうなると言葉でどうこうするのは無理だろう。 再び道具箱へ向かい、ノコギリを持ってくる。 「じゃあ君が痛い思いをするんだね」 赤れみりゃの片足にノコギリを当て、少し引く。 「うあぁぁぁ! いじゃぃぃぃ!」 成体よりも、脆弱かつ痛みに敏感なのだろう。 少し切り込みを入れただけでこの有様だ。 「ほら、ママを食べないと、君もママみたいにザクザクになっちゃうよ」 優しい声で諭してやると、赤れみりゃは、 「いぢゃいのやだぁ……ううー」 と、再び親を食べ始める。 食べられている親れみりゃは、じわじわと噛み切られていく痛みに必死に堪えているようだ。 十数分ほど経った所だろうか。 顔の半分程度を喰われた所で、親れみりゃは、 「もっど……ゆっぐ……」 と言い残して絶命したようだ。 赤れみりゃは、パンパンになった腹で、 「うう……まぁま……ごめんなじゃい……ごめんなじゃい……」 と、なきじゃくりながら懺悔している。 「よしよし、えらいね、よく頑張ったね」 と褒めてやりながら頭を撫でてやるが、一向に泣き止む気配は無い。 それもそうだ。目の前で親が壮絶な拷問を受けた挙句、自ら親を食い殺してしまったのだから。 なんという悲劇だろう。 目頭が熱くなる。 しかしまたもルール違反だ。 「赤ちゃん、食い合えと言ったけど、君は一方的に親を食ったね。 なんという鬼畜だ。 許しがたい」 「う、うみゅ……?」 言葉の意味を知ってか知らずか、涙を流しながら困惑する赤れみりゃの傷口に、再びノコギリを当てる。 「これは罰だ。 償いなさい」 親にした時より、更にゆっくりと引いていく。 「うぎゃあああああ!!」 ゲボゲボと、食った親の残骸を吐きながら泣き喚く赤れみりゃ。 さっき少し切り込みを入れただけで、あの様子だったのだ。 さぞかし痛いのだろう。 じっくり時間を掛けて片足を切り落とした所で、もう片方の足を、一気にねじ切る。 試しに千切った片足を齧ってみると、何ともいえない美味だった。 恐怖と激痛で良い味になったのだろう。 その調子で、両手と、未熟な羽もねじ切ってやる。 「うあぁぁぁっ!! まんまぁー!!」 親はさっき自分で食ったろうに。 千切った傷口に指を突っ込み掻き回す。 気絶したのか無言になった所で、更に奥深くへ指を突っ込み、激しく抉ってやる。 「……ぎゃっ!! うぎゃおぉぉぉぉぉ!!」 目を覚ました。 やはりリアクションが無いと虐待は面白くない。 ぱっちりした愛らしい目の内、右目を抉ってやると、 「ぎゃおぉぉぉ!! いじゃいぃぃ!」 と叫ぶ。 今度はカッターで服(外皮)と腹に切り込みを入れる。 10センチほど切った所で、腹の中に腕を突っ込んで掻き回す。 「ごぼっ! ごびゃぁ! うぐぁぁぇぇぇ!」 口から激しく肉汁を吐き出しながら、ビクビクと痙攣する赤れみりゃ。 尚も腕を動かしている内に、何やらコリコリとした物を見つけた。 腕を引き抜いて見てみると、それは親れみりゃの羽の残骸だった。 「ほーら、赤ちゃん、さっき君が食べたママのだよ〜」 と言ってやると、 「う……うぁぁ……まぁまぁ……」 と瀕死の状態ながらも、泣きながら反応する: 「それじゃ、そろそろママの所へ行こうか」 「うぁ……?」 涙を零しながら、未だ意味の理解できていない赤れみりゃの顔へ、カッターの刃先を当てる。 そして、 「死ね」 「うじゅ! ぶぎゃぇぇ!」 グジュグジュと滅多刺しにして、赤れみりゃを絶命させた。 「さーて、次は君たちの番だよ」 「うー!! うー!!」 羽を縛られて飛べない胴無し親子三匹(両親と赤ちゃん)は、部屋の隅で泣きながら叫んでいる。 目前の拷問・虐殺劇で、さぞかし恐怖を味わったのだろう。 つかつかとれみりゃ達の所へ歩いていき、片方の親を拾い上げる。 「う″−!」 声を低くして叫ぶれみりゃ。恐らく威嚇のつもりなのだろうが、人間にはまるで恐怖の対象とはなり得ない。 縛った羽の根元を少しずつ捻ってやる。 みりみりと音を立て、肉汁がこぼれ出す。 「うー! う″う″−!」 あくまでもゆっくりと羽を裂いてやり、もう少しで千切れるという所で、 一気に千切ってやった。 「うああああああああ!!」 顔を真っ赤にして、涙を飛び散らせながら、叫ぶ胴無しれみりゃ。 先ほどの赤れみりゃの様に、傷口に指を突っ込んでグチャグチャと掻き回す。 「う″ぁ″ぁ″ぁ″ぁ″ぁ″ぁ″」 絶叫するれみりゃを床に叩き付け、道具箱から、 メスと接着剤を出して戻ってくる。 頬に小さく切れ込みを入れ、今度は赤ちゃんれみりゃを持ってくる。 「うー……うぁぁぁぁぁ!!」 れみりゃを更なる激痛が襲う。 何をしたかと言えば、指で無理やり傷口を押し広げ、 顔の中に赤ちゃんを突っ込んだのだ。 そして、頬と翼の傷口と、口に接着剤を塗って押さえつけ、待つ事数分。 あっという間に、口を塞がれ、中に赤ちゃんを入れた胴無しれみりゃ(羽も無いver)の完成だ。 「んー! んんー! んー!」 何やら抗議しているれみりゃを、残った片親の方へ投げ捨てる。 「んんぅ!!」 床へ激突し、バウンドしながら相方の方へ戻ってきたれみりゃ。 「うー! ううー!?」 と、無事なれみりゃはボロボロの相方を心配しているようだ。 「んー……」 と、口を塞がれたれみりゃは返事のようなくぐもった声を挙げている。 「おい、れみりゃ。 よく聞くんだ。 このままだと、親子もろとも飢え死にするぞ」 「んー!?」 「そこでだ。 今からそっちの無事なれみりゃに、顔を食い千切ってもらえ。 そうしないと、赤ちゃんも飢え死にするか消化されちゃうぞ?」 告げてやると、無事なれみりゃは涙を流しながら 「うー! う″う″−!」 と顔を横にプルプルと振って拒絶の意思表示をする。 嫌がる姿も可愛いよ、れみりゃ。 そこで、今度は無事なれみりゃを拾い上げっると、一気に羽を引きちぎってやった。 「うあぁぁあああ!!」 「ほら、やらないなら、お前がぐちゃぐちゃになるんだぞ? さあ、早く」 催促してやると、観念したのか、口を塞がれていないれみりゃは、つがいを少しずつ齧り始めた。 「ん″ん″ん″ん″!!」 自分の体がゆっくりと食いちぎられていく痛みに、声無き絶叫を挙げるれみりゃ。 「うー……! うー……!」 齧っているほうのれみりゃも、本当に辛そうで、悲しそうに、愛したパートナーの顔を食んでいる。 なんという悲劇だ。 子供を助けるために恋人を食わねばならないなんて。 なんて悲しいんだろう。 れみりゃの作業が進行している内に、道具箱そのものを持ってくる。 取りだしたのは釘。 それを、齧られ続けるれみりゃの頬に突き刺した。 「んー!?」「ううー!?」 痛みと驚きの声を挙げる両者。 「早くしないと、どんどん刺してくから中の赤ちゃんが死んじゃうぞー、頑張れー!」 と、声援を送りながら、十秒に一本ほどのペースで突き刺していく。 三本ほど刺した所で、 「うー!!」 と、親れみりゃの歓声が挙がった。 どうやら、頬を食い破って子供を見つけ出したらしい。 「……んぉー……んぉぉー……」 口を塞がれていた親れみりゃも、口内の動きで子供を外へ押し出す。 「ぅー、ぅー」 肉汁まみれになりながら、弱弱しい声で親れみりゃに擦り寄る赤れみりゃ。 感動の再開に、思わず胸が熱くなる。 熱くなったせいで思わず、 「ほい」 口を塞がれたれみりゃを踏み潰した。 「うー!?」 驚愕するれみりゃへ、悲痛な思いで告げてやる。 「羽も無しで口も一生開かないんだ。 死んだ方が楽だろう?」 長きに渡って苦痛を味わうよりは、こうしてやるのが愛情という物だろう。 可哀想なれみりゃだったね。 「さてと、味見と行きますか」 「ぅー?」 赤れみりゃを拾い上げ、縛っていた羽を解いてやり、私の口に放り込む。 下に広がる絶妙な塩加減。 口内で羽を噛み千切ってやると、こりこりとした食感がたまらない。 恐らく、眼前で味わった恐怖と、親の口内で消化されかけた苦痛などが混じって絶妙な旨みとなっているのだろう。 「ぅー! ぅー!」 今も私の口内で苦痛と恐怖を感じ続けているらしく、どんどんと味が良くなって行く。 ちょっとずつ齧りながら、そんな赤れみりゃを口内で味わっていると、 親れみりゃが足に体当たりし、齧りついて来た。 「うー!! うー!! ううー!!」 うー三連発だ。 伴侶を殺され、子供が食われかけている現状に、恐怖心より親の愛と怒りが勝ったのだろう。 しかし、厚手のズボンを履いている私にダメージはゼロ。 尚も足へ喰らいつくれみりゃに、口の中を開けて見せてやる。 そしてれみりゃが見た物は、 「うああああ!!」 両の羽を無くし、体の半分近くを食い千切られた瀕死の我が子だった。 「……ぅー……ぅー……」 弱りきった声で呻くように口内で鳴く赤れみりゃ。 「ママでしゅよー、最後にバイバイしようねー」 と、言って、口を閉じ、口内で赤れみりゃをぐしゃぐしゃに磨り潰して飲み込んだ。 うむ、実に美味だった。 「う、うあ、うあああああああああああああ!!!」 慟哭する親れみりゃ。 さあ最後は君の番だ。 今までやってきたように、羽の傷口を激しく抉る。 「うあぁぁああああああああああああああ!!」 そこで、ふと最初のうーパックを思い出し、机の方に行って見ると、 ロウソクは燃え尽き、断続的な痛みが響いたのか、既にショック死していた。 再びれみりゃの所へと戻ってくる。 道具箱から塩を取り出して、傷口に擦り付けるように満遍なく、 かつ激しく塗りこんでやる。 「うぁう!! うぁっ! ぅうぅぅぅ!!」 口からちょっと泡を吹いている。 道具箱からロウソクを取り出し、着火。 ゆらゆらと揺らめく火で、緩慢に傷口を焼く。 「うぅぅぅぅぅぅ……!!」 次いで、帽子を取り上げる。 「うっ!? うー! うー!」 返してと訴えているのだろうが、ビリビリに引き裂く。 「うう……」 なんと言っても『おかざり』は、ゆっくり種共通の、とても大事な物だ。 羽を千切られ、傷口を焼かれ、帽子までゴミにされた。 もう野生で生きていくのは不可能だろう。 ならばよし。 桐を道具箱から出して、両目を突き刺す。 「ぁうぁぁぁぁぁ!」 更に顔の数箇所も刺す。 「う″ぎっ! うああああ!」 その傷口をロウソクで焼く。 この間、れみりゃは何度も失神と覚醒を繰り返している。 仕上げだ。 サラダ油を掛け、 「愛しているよ、れみりゃ」 殺す前の恒例の言葉を嘯いて、 火を着ける。 「うあああああああああああああああああああ!!!!」 一際大きな絶叫を上げ、焼けるれみりゃ。 流石に煙が凄いので、私は一旦収容所の方へ戻る。 拷問室は石造りになっているので、焦げあとこそ残るが火事の心配は無い。 数分ほど待って拷問室へ戻って来ると、見事な焼きれみりゃが完成していた。 今日の昼食はコレで決まりだ。 気付くと、あれだけ可愛がっていた六匹全てが惨たらしい死を迎えてしまっていた。 なんて可哀想なれみりゃ。 そしてなんて可愛らしいれみりゃ。 さてと、昼食を摂ったら、もうニ、三匹殺そうかな。 待っててね、愛しいれみりゃ達。
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/2257.html
対価 5KB 虐待-いじめ 小ネタ 注:食後にお読みください 作・米印 特にあてもなくぶらりぶらりと気の向くままに夜の街を歩いていると、路地の陰から声をかけられた。 「ゆっくりしていってね!」 なんて第一声で足下から人に呼びかけるのはゆっくりって呼ばれている生首饅頭くらいしかないだろう。 案の定、物陰からひょっこり顔を出したのは黒髪に赤いリボンをしたゆっくりれいむだった。そいつは満面の 笑みを浮かべてこっちを見上げるともう一回ゆっくりしていってね、と声を上げた。 急ぐ用もなく、気侭に歩いていただけの私は何の気無しに足を止めてそのゆっくりれいむと見つめ合った。 しばらくするとニコニコ笑っていたれいむが急に眉を吊り上げて目を見開いた。そして精一杯がんばった感の ある引き締まった表情でれいむは私に告げた。 「おにいさん、ゆっくりしたれいむをみてゆっくりできたでしょ? おれいにれいむをゆっくりさせてね!」 私は、ああいいぞ、と軽く請け負った。 ※ ※ ※ ※ 対価 ※ ※ ※ ※ 行き付けの飲み屋に着くと、まずは駆けつけ一杯。 中ジョッキの生ビールを受け取ると半分ほどを一息に呷る。口内に広がる苦みと味わいをぐびりぐびりと飲ん でゆく。この喉越しが堪らないッ! そしてつきだしの枝豆。塩茹でしただけの、この緑色の豆がまた旨い! あんぐり開いた口に向けて、房から 押し飛ばした豆を塩気のある汁とともに飛ばしてゆく。一つ、二つ、三つ……、小鉢に盛られた枝豆総てを口内 に納めると、私はおもむろに咀嚼を始めた。 もっしゃもっしゃと噛み締めるたびに口内に枝豆の旨味が充満して、これがまたなんとも言えず……! そう して砕かれ磨り潰した豆を残り半分の生ビールとともに飲み干した。っかぁーっ! 旨い! 空いたジョッキを横に置いて、二杯目を注文。 と、そこで足下から声がかかった。 「おにいさんばっかりずるいよっ! れいむもはやくゆっくりさせてね!」 そうそう、れいむを連れてきたのを忘れていた。早くゆっくりさせろと催促してくるれいむを宥め賺せて、丁 度空になったジョッキに入れてやった。 れいむは底に少し残っていたビールを舐めたがすぐにえずいた。苦くてゆっくりできないそうだ。ゆっくりっ てのはお子さまだねぇ。 さて、気を取り直して何を食おうか。 とりあえず店主の姐さんにいつものを注文して、私は目線をカウンターの上に乗せた。 この飲み屋はカウンターに手作りの料理が大皿に盛りつけて並べてある。冷めても美味しいし、暖めるのが簡 単な品々。ま、大半は煮物系だ。 治部煮、筑前煮、ヒジキの煮物などなど。私は調理に向かう姐さんを呼び止めて、ヒジキの煮物と手羽煮を取 り分けてもらった。 まずは手羽煮。 甘辛く煮付けた手羽を手掴みで持ち上げると、L字型の手羽先の先細りになっている方、つまりは羽根の先側 をもぎ取る。目出度く手羽元となった骨付きの肉を私はぱくりとくわえ込んだ。 そしてつまんだままにしてあった骨の根本を引っ張って口から骨を引き出してゆく。もちろん、歯は閉じたま まで、だ。こうすると歯に刮ぎ落とされて肉だけが口の中に残るという寸法だ。手が汚れてしまうが私はこの食 べ方が一番好きだ。 柔らかいゼラチン質の皮、味の引き締まった肉、染み込んだ甘辛のタレ。唐辛子の辛味は素材の旨味を損なわ せず、食欲を刺激する絶妙なものだった。あぁ、旨い。 ついでに頼んだ白米と一緒にかき込むと食が進む進む。 そうして手羽煮が片づくと私の箸はヒジキの煮物へ移った。 オーソドックスにヒジキに大豆、人参、油揚げが入ったそれは実にほっとする味だ。それを白いご飯の上に乗 せてはかっ込み乗せてはかっ込む。箸のひとつまみで茶碗に移せる量はさほどでもないので一口の量もそこそこ だ。じっくり噛み締めれば一つ一つの素材の味が滲み、そして白米の旨味が口一杯に広がってゆくのが解る。 こんな一時に米食っていいなぁ、としみじみと思う。 ヒジキの煮物が入った鉢が空になる頃には茶碗の白米もまた空になっていた。 ご飯のお代わりを頼み、次のおかずがくるまでビールで喉を潤す。 大して間を置かずに姐さんが奥の厨房から現れた。その手には私がここに来れば注文している『いつもの』が あった。カラリと揚がったこんがりきつね色の衣に包まれたそれを食べなくては私がこの店に来た意味がない。 私にそこまで言わせるもの。それは鰺フライ。 キャベツの千切りの上に乗せられた二枚の鰺フライ。その皿が目の前に置かれるや、私は揚げたてアツアツの フライにソースをだばっ、とかけて大口開けてバクリと食らい付く! ザクッ! と音を立ててサクサクの衣を破り、まだ瑞々しい肉汁を湛える鰺の身を食いちぎる。熱々の身に嬉 しい悲鳴を上げながらも口を動かせばザクザクと口内で衣が砕け、芳醇な鰺の旨味と絡み合う。べったりかけた ソースもこれの前には単なる隠し味にしかならない! タイミング良く姐さんがお代わりのご飯をスッと差し出してくれた。これでもう止まらない、止まれない。止 まる気もない。 フライを囓り、白米をかっ込み、キャベツを貪り、ビールを飲み干す! 私は一心不乱にガツガツと喰らう。その間、空になったジョッキがカタカタ鳴ってたようだが気にもならなか った。 ※ 食後に頂く一杯のみそ汁。豆腐とワカメだけの赤出汁の良さは味と香りもさることながら、五臓六腑に染み入 る温もり。これがまた落ち着くねぇ……。 と、これまで忘れかけていた存在が大口を開いて泣き喚いていた。 「ゆっくりさせてよぉ、ゆっくりしたいよぉっ! おなかすいたよぉっ!! おにいさんばっかりずるいよっ! れいむをゆっくりさせてくれるっていったのにぃっ!」 私はれいむ入りのジョッキの取っ手を掴んで顔の前まで持ってきた。 れいむと目線を合わせると、私はにやりと笑って告げた。 れいむのゆっくりとした姿をみたことで私がゆっくりした分の対価は、私のゆっくりした姿を見せたことで 支払っただろう、と。 「……ゆ? ゆんやぁっ!! こんなんじゃゆっくりできないぃっ!?」 そうかい、私もおまえを見てもゆっくりできなかったよ。 さて、ごちそうさま。今日も美味しかったよ。おあいそう……。 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 虐待しない理由はそういうことかww だが、れいむは理解してないだろうな~(早く虐待したい -- 2018-01-05 18 02 04 お腹空いちゃったじゃん... -- 2016-08-08 22 04 44 いろんな意味でうまいw -- 2013-07-26 09 53 57 やべー餓鬼なのに美味しそうと思った (18) -- 2013-04-02 10 35 50 枝豆食いたい -- 2012-07-26 20 13 23 ああ、俺の空腹中枢が… -- 2012-07-23 23 01 16 ちくしょう、深夜なのにお腹が空いてきたw -- 2011-10-29 01 17 24 昼の鯵フライミックスと、さっき風呂上がりのビールと 皮串思い出した、どうしてくれるww -- 2011-10-07 22 39 24 うまいし旨そうだ…… -- 2011-09-16 09 56 01 自分のゆっくりした姿見せて「ゆっくりできたでしょ!?」とかほざいたくせに人様のゆっくりした姿を見てゆっくりできないとはどういう了見だ! -- 2011-01-15 13 11 05 なるほどねぇw うまいわーww -- 2010-12-15 18 31 49 美味しそうな描写が上手すぎて……腹が減って来たよ…… -- 2010-12-08 22 55 47 注意書きまで粋だ -- 2010-12-08 17 35 18 ↓うなぎ屋の匂いだけで米食ったヤツが対価にお金の音だけを聴かせるってヤツな。タイトルは分からんけど。 にしてもこの話はゆ虐よりも、ザックザクのアジフライの描写をしたかったんじゃ、って感じだな。お腹すいちゃう -- 2010-11-11 23 36 19 なんだったっけな、あの落語の……確かうなぎ屋のやつ -- 2010-09-22 01 28 36 まさか店内で迷惑な虐待をするのかと思ったらそうきたか まさに対価だな -- 2010-09-17 16 57 08 なんてゆっくりしたお兄さんだ -- 2010-09-03 17 21 35 ゆっくり見てゆっくりできるわけ無い。 -- 2010-08-25 23 04 28 あんなもの見てゆっくりできたらたいしたもんだぜ。 -- 2010-08-25 06 39 41 ゆっくりを見てゆっくりできる人なんていないわな。 -- 2010-07-29 08 57 45